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第16回 「広がる言葉は想像力の証」

【日時】2019年10月7日(月)
【講師】猫道さん
【内容】ライブ、ワークショップ

 今回の講師の猫道さんは「スポークンワード」という、喋りをビートに乗せたパフォーマンスをしている方です。ありがたいことに、公開していた過去の活動に興味を持って頂き、猫道さんの方から依頼があり、開催が実現しました。

 7月以来の開催で、個人的には少し緊張していましたが、機材を設置する間の他愛もないお喋りで、教室の雰囲気は打ち解けました。参加生徒は10人ほどで、機材の設置が終わると自然な流れで椅子が並べられ、そこにライブ会場が完成しました。

 前半はスポークンワードのライブ、後半は詩のコラージュをつくるワークショップという流れでした。ライブが始まると、手始めに、大蛇をモチーフにした曲の発表がありました。教室の壁を震わせるほどの、想像以上の音量に驚いたものの、すぐに歌の世界に引き込まれました。身体はビートに乗って心地よく、また、きこえてくる言葉は情景を伴って頭に浮かび、本を読んでいるような感覚もありました。曲の発表の合間に、学生時代からの経歴と、仕事やプライベートの話を含めた自己紹介もありました。人前で話すことが好きでパフォーマンスでも仕事でもそのことができて楽しいと仰っているのを聞いて、喋る猫道さんの輝きの理由が分かった気がしました。その後は、阿佐谷と高円寺を繋ぐ高架下での物語の曲、塾講師として子どもに勉強の指導をしている中で思いついた人生観を表現した曲、結婚式場で働いている中で思いついた恋愛の曲などの発表がありました。どれもユニークで面白くて、グッとくるポイントがありました。

 1時間ほどのライブを終えると、数分の休憩を挟んで、いよいよワークショップが始まりました。机の上に猫道さんが用意してくださった「言葉」(チラシや新聞の切り抜き)が広げられて、参加者は各々そこから好きな言葉を選び取って、紙に貼って、自分だけの言葉のコラージュ作品をつくるというものでした。言葉を選んで紙に貼る時間は15分間、真剣に取り組みました。文字から成る「言葉」を視覚的に配置する経験は余りなかったので、紙の上でどの位置にどの言葉を貼ったら面白いのか、美しいのか、いくつも苦渋の試行錯誤を強いられる活動でした。しかし、そのぶん完成したときの達成感も大きく、短い時間で作り上げた作品でしたが、なんだか長い時間をかけて作ったような感覚になりました。

 全員が無事に作り終えると、自分の作った作品を、皆の前で音読して発表することをしました。コラージュなので、読む順番や読み方の自由度が高く、感情的に読む人も、淡々と読む人も、ビートに乗せて読む人もいました。それぞれの人が読み上げる言葉から情景、あるいはもっと抽象的なイメージが浮かび上がり、広がっていって、発表を聞くのはとても楽しかったです。無限に広がっていくイメージから、言葉の持つ力というものを改めて体感することができました。このような機会をつくって下さった猫道さんに感謝します。

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