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単におんなじだっただけ

「といれ!」
業務時間にも関わらず私用の携帯が振動する。

仕事柄なのか、業務中に私用の携帯を触っていようが、カップラーメンを食べていようが、居眠りしていようが、文句を言う人はいない。
いい意味でも悪い意味でも個人事業主のような働き方。いつどこに行こうが気に留めるような人はいない。

私用と社用の携帯をポケットに入れ、「といれ」に向かうと同期が先に居た。右手にはメビウスの煙草を一本持っている。

彼のいう「といれ」は一般的にいう「喫煙所」だ。私たちは1日に数度「といれ休憩」という名の「煙草休憩」を取っている。
ちなみに私は煙草を吸わないので、単なる「さぼり休憩」なのだが、、、。

わざわざ寒い外で何を話すかというと、
今日どんなことをしたかだったり、これからなにをするかだったり、仕事の愚痴だったりと言ったごくごくフツーのThe社会人といった話だ。
いつまでも学生気分が抜けない私たちは、いつもそうやって時間をつぶしている。

ただ結果を出さなければ生きていけない業界で私たちはこのままでいいのかと考えることが増えてきている。
そういった話ができるのも私がその同期とつるむことが多い理由のひとつだ。



唐突だが
「同期」は友だちなのだろうか。



というのも、この前大学の友達と連絡を取っていたときに「そっちで友達できた?」と聞かれてうなずくことができなかったからだ。

彼のことをずっと同期同期と言っているが、私には全国に「同期」が400人近くいる。そのなかで、同じ営業所にいるのが8人。同じ市にいるのが3人。同じ事務所にいるのが2人だ。前述の同期はその中でも同じ市にいるやつで、事務所が違うといっても「といれ休憩」を一緒にとれるほどの近さにいる。

そんなこともあり、よく行動を共にすることが多いのだが、もし彼と大学時代知り合っていたら、おそらくこんなに親しくなっていなかったとおもう。その同期はフットワークが軽く、根明(ネアカ)で、地が面白いからだ。
私とは全く正反対の人間。
じゃあ、なぜ一緒にいるようになったのか。
単純に仕事場が近かったからだろう。
こういうと薄情に聞こえるかもしれないが、事実だからしかたない。


やはり「同期」は普通とは違う。


たまたま同じ時代に生まれ、同じ会社を選び、同じ部署、同じ地域に配属されただけ。こんな書き方をしたらどこかの安っぽい小説のようだが、
単におんなじだっただけ。それが「同期」。

私の中の「同期」の位置づけとしてはそんなところ。


ただ、数字がすべての評価軸である以上、やはりどこかで無意識に比べてしまう。ところどころギクシャクしてしまう。
それが嫌であまり意識しないようにすることもある。
いまのSNSでいうところのミュートのようなものだ。

そんな同期とよく休みの日に旅行(と呼ぶには雑な遊び)をする。

京都に始まり、新潟、東京、名古屋、静岡いろんなところに行った。
(それぞれ楽しかったし、またどこかで書きたい)
お金のない私たちは基本的に高速を使わない。
ただ時間と体力はあまりあるので、休日を待たず、退勤後、夜のうちに出発する。(東京なんて片道6時間30分かけて夜中の2時に着いた)

行きしにやっていることと言えば、もっぱらカラオケか誰も聞いていないボケ突っ込み。ただ、最近は映画を観ることが多い。

ほとんど私が観たい映画をみるのだが、『きみの鳥はうたえる』や『ワンダー・ウォール』、『町の上で』、『レイディオ』などあまり万人受けしないと思っていたものにもしっかりついてきてくれるのが少しうれしかったりする。私は映画の感想をすぐに言いたい派だから、そういう時一緒に見てくれるというのはかなり重宝する。あと変に評論家ぶらないところも。

その同期と遊んで驚いたことは、別れた後ほとんど毎回「ありがと!」「きー付けて帰りや!」と連絡をくれることだ。先輩や異性とご飯に行った帰りに気遣いでいうことはあっても、友達と遊んだ帰りにそんなこと送るやつはいない(少なくとも私のなかにその選択肢はなかった)。
ただ、言われたら案外うれしいものだ。それを真似て、帰省したタイミングで友達と遊んだ時なんかは、わたしも帰りに同じような内容を送っていた。



なんかとりあえず、その同期といて思ったことをテキトーに書き並べてみたけど、ほかにもいろいろ書きたいことは多い。

その同期に500万円貯まったら何もかも捨てて一緒に沖縄に行こうといっている一つ年上の女の子がいることや、その子のことが好きらしいが彼氏がいること、自然が好きで赴任地にあわせてSnow Peakで買った20万以上のキャンプ用品一式を一度しか使っていないこと、同期の友人で初対面の子の家で会って10分足らずで寝てたこと、勤務日に行った資格試験で学科ができなさすぎて一緒に実技をトんで帰ったこと、同期の帰省について行って交通費タダで京都旅行したこと、その帰省でなぜか湘南で転職したいと思ったらしいこと、前述の「そっちで友だちできた?」の問いに「友だちってどうやって作るの?笑」と送ったのを見られたこと、、、

こう書くとやってることも言ってることも学生時代とあまり変わらない。

ちなみにLINEをみた同期の反応は
「なんでそんなこと言うねん!!(いつものツッコミ風)」だった。

たまたま同じ時代に生まれ、同じ会社を選び、同じ部署、同じ地域に配属された、”単におんなじだっただけの同期”でも”友だち”にはなれるらしい。


ちなみに彼は転職したい気持ちを整理するためにnoteを書き始めたらしい。
彼が転職しても友だちでいたいなと、いまは思う。



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