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黄色い花(雑記)

「春は黄色い花からやってくる」という言葉があって、季節は黄色い花からはじまり、よく目にとまるのは黄色い花だ。菜の花、スイセン、タンポポ、レンギョウ、黄色い花には春のあたたかさを感じる。

近所に菜の花がたくさん咲いていて、採ってきて部屋に活けている。なんとなくだけど、野花は、花瓶よりも空き缶とか酒瓶のほうが似合う。ひとからもらったビールの空き缶に菜の花を挿したら部屋がぱっと明るくなった。

春が訪れるたびに、赤い公園というバンドに「黄色い花」という曲と、2020年に急逝した津野さんのことを思い出す。

「黄色い花」は大切な友人がある出来事から落ちこんでしまって、そのひとのことを思って、津野さんが書いた曲らしい。

大切なひとが落ちこんでいるとき、かける言葉がひとつも見つからことがある。「もしもあなたが/悲しくって俯いてしまった時には/せめて咲いてる/タンポポでありたい」という歌詞に、そうだよなと思う。ただそばにいるだけのことがありがたかったりする。こんな優しい歌詞を書くひとが自死を選ぶ世界であることが悲しい。

「幸せは必ず黄色で出来てる」と言われると、そんなような気がしてくる。本当にそうなのかとか考えるのは野暮というか、ぜんぜん大事なことではなくて、大切なひとと公園や散歩道ででなにげなく花を眺めながら、そんなことを言ってくれたら、心がすこし安らぐような気がする。

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