ボードゲーム作家になるまでとその経歴
ーーーインタビューをさせていただきます林・香月と申します。大下さんのプロフィールを拝見しまして、改めて自己紹介をお願いいたします。
大下修央と申します。スピカデザインというデザイン事務所兼ボードゲーム作家として活動をさせていただいております。2012年にスピカデザインを起業して約11年活動しています。
ーーーどのような経緯やきっかけで起業をされたのですか。
過去の仕事内容として、最初はテニスインストラクターで、その後しばらくはスポーツ用品店の販売員をやっていました。サラリーマン的な組織の仕事も行いたいと思い、アンテナ部品の会社に転職し、部署を異動していく内に設計の仕事に携わるようになりました。
PCで設計を行っていましたが、当時は周囲の人たちから「PCが使えれば何でもできる」と思われていましたので設計だけでなく「HPや宣伝用の印刷物も作ってくれ」と言われ、やっている内にデザイン関係のスキルが身に付きました。
私が設計した物を使ってくれる業者さんが群馬県や秩父市に多くいらして、その業者さんの多くが宣伝やデザイン関係にも困っていました。元々会社に10年ぐらいいたら起業しようと思っていましたが、お手伝いしているうちにデザインをやりながら設計もできるような事務所を立ち上げようと思い、起業しました。
前職に転職するまで、設計の仕事とは、PCに向かって設計するだけの仕事だと思っていましたが、想像とは随分違い、営業員とお客様の所に一緒に行ってどんな物が欲しいかを聞いたり、設計後にそれを工場で加工できるのかを擦り合わせたりすることがメインでした。
人の求めている物や人の話を要約する仕事がメインだったので今までやってきたことにすごく通じるものを感じていた中、会社がISOという品質管理マネジメントシステムを取っていたので社内の勉強会で講師を務めることになり、勉強会で参加者に何か気づきのある学び方がないかなと模索している時にたどり着いたのがゲームでした。
ある時、何かで見ましたが、ゲームをすることで気が付く人が多いということを知り、手作りのゲームを作り始めたのがボードゲームを作る一番初めのきっかけでした。
ゲームを作ってみると今までに感じたことのないような刺激を感じることができ、また、ゲームを通じて部署の皆で楽しんだり、チームワークを感じたりすることができました。その後、起業してグラフィックデザイナーになってみると周りにそういう人が多かったので何か変わったことをやらないといけないなと思っていました。
グラフィックデザイナーや今までやってきたことの知識と、昔やっていたゲームの知識を合わせるとボードゲームを作ることができるかもしれないと思い、ボードゲーム制作を始めたのがボードゲーム作家になったきっかけです。
ーーー起業して辛かったことなどはございますか。
会社で働いていた頃に比べるとほぼないですね。確かに起業して最初の何年かは資金繰りやどうやってお客様さんと知り合ってビジネスを広げていけば良いのかを考えることはありました。
ーーー今後の目標などはございますか。
日本のボードゲームは世界的にみるとマーケットがまだまだ小さいですが、世界も少しずつ日本のボードゲームにも目を向け始めてくれていると思います。日本のボードゲームが世界的に売れてくれると面白いなと思います。
ーーー今の活動に関するエピソードがございましたら教えて下さい。
前職でゲームを使って社内の研修を行ったことがあります。なぜゲームを使って研修を行ったかというと当時、技術開発責任者をやらせてもらっていた中で仕事の最終目的を考えることが多々ありました。その中で私は「人を残すこと」が最終目標であると考え、ノウハウをどうにか体験できないかなと思ったのが、社内研修でゲームを使ったきっかけでした。
協力ゲームといって勝ち負けがなく、みんなが勝つかみんなが負けるかというゲームをやってみると非常に面白かったです。当時の経営者に社内研修の報告書を見せたら呼び出され、社内研修でゲームをやったので怒られるのかなと思ったら逆に「チームでやっていく上で大事なことはこれだよ」と言われて少し手応えを感じました。
ーーーボードゲームを作って良かったなと思うことはありますか。
個人でセミナーを実施した際になかなか集客ができませんでしたが、ボードゲームというと多くの方が集まってくれるので大変ありがたいと感じました。企業の方からも社内研修の相談を受け、経営者が伝えたいことをゲームで楽しく遊びながら体験できるものを用意しています。企業の方のお手伝いをさせてもらうと何か意義があるというか先ほどの「人を残す」というところにも貢献できるかなと思います。
また、作ったボードゲームをやった人が楽しんでいるのが伝わってくるとやはり嬉しいですね。
ーーー大下さん自身のことについても伺えればと思います。大下さんはこれまでずっと和光市在住ですか。
私は生まれも育ちも和光市で3年ぐらい前に引っ越しをしたのですが、なかなか和光市で住宅が見つからず今は朝霞市に住んでいます。生活圏は和光と朝霞を行ったり来たりしているので気持ちは今も和光市にあります。
私からすると和光市は故郷で通ってきた小・中・高と全て和光市ですので、やはり地元でボードゲームを通じて知り合いの輪を広げられたら楽しいなと思います。
ーーー和光市の住みやすさはいかがでしょうか。
和光市は都内に出るのも近いですし、意外と散歩するのは好きでまた、知り合いが多いというところはいいなと思います。
ーーー活動を通して和光市をどのような場所にしていきたいですか。
和光市でお店をやっていたり、事業をやっていたりする人もそうだと思いますが、和光市に住んでいるものの都内に行っている人も多いと思います。土日の休みはもう少し地元で何か遊べたり、何かを見つけられたりする場所になると面白いかなと思います。ボードゲームができる場所があればそれも少し力になれるかなと思います。
ーーー今後、挑戦したいことはありますか。
世界には言語依存しないゲーム、つまり言葉がなくてもできるゲームというのがたくさんあってそういうゲームを世界で売ってみたいと考えていました。しかし、コロナが流行っていた時はYouTube等のゲーム配信で言葉遊び系ゲームを使ってくれる人が多く、意外にも言語依存したゲームも人気でしたね。
今後挑戦したいことでいうと少し迷ってはいますが、世界最大のボードゲームコンペ゚に出品したいなと思っています。
また、参加者からも質問をいただきました。
ーーーボードゲームはどのような種類があるのですか。
ボードゲームの種類は幅広くあります。盤を使ってゲームするものや、皆さんが良く知っているUNOも実はボードゲームの一種ですね。最近ではネット上でボードゲームができるものも出てきていて、基本的には電源を使わないで遊ぶゲームのことをボードゲームといいます。
人生ゲームやすごろくとかもボードゲームに含まれ、アイデア次第でまだまだ無限に作れると思います。 後はゲームをやっているシーンを映すだけでも案外面白かったりするので、芸能人がYouTubeで遊んでいる姿を配信したり、バラエティ番組でも使われたりしていますね。
ーーーテニスのインストラクターをやっていたと仰っていましたがテニスは子供の頃からされていたのですか。
テニスは幼稚園の時からやっていて両親は私をプロにしようと思っていたのではないかなと思っています。高校までは部活、大学ではサークルで、その後テニスのインストラクターになりました。
ーーー4、5歳からでも始められるボードゲームでおすすめのものはありますか。
ボードゲームは対象年齢が通常6歳からのものが多いですが、最近だと4歳からでも始められる物も多くあります。私が作っている物でも朝霞市のぽぽたんのキャラクターを使わせてもらったボードゲームがあって、絵柄を口の動きでヒントを出して当ててもらうようなボードゲームになります。例えば絵柄がいちごならいちごって言わずに口の動きでいちごを当ててもらうみたいな感じで4歳でもできます。
その他は子供が見たらヒントを出してみんなに当ててもらうようなボードゲームもあります。子供のヒントはバラバラですがそれによって想像力が膨らんだり、コミュニケーションが増えたり、みんなで楽しむことができるので4歳からでもおすすめのボードゲームだと思います。
あとは古本屋に行くとボードゲームが置いてあり、対象年齢が書かれているのでその中から選んでいただければ家族でも楽しめると思います。
ーーーお話の中で会社にもボードゲームを導入されたとありましたが具体的にどのようなボードゲームを導入されたのですか。
歯医者さんから相談を受けて歯の王様を守るゲームというものを作らせてもらいました。歯医者さんはTVで見ていると歯をガリガリ削ったり抜いたり少し怖いイメージがあると思います。しかし、その歯医者さんからすると本当はそういうことがやりたいのではなく虫歯の予防をするために何かやりたいと考えていらっしゃいました。歯磨きを定期的にやったり、歯磨きをしないといけない時についつい遊びに行ってしまったりするというアクシデントもある中で一個の歯のブロックをみんなで守るゲームを作りました。
これはBoard Game Japanカップで学びになるボードゲームとして大賞をいただきました。他には、私はユーザーインターフェースの部分だけのデザインだったのですがサイゼリヤの社内研修で使うボードゲームにも携わりました。言葉で対処方法を伝えても上手くできないのでそれをゲームの中で体験してもらっています。
ボードゲームのいいところは主人公になれるところだと思っています。その中で気付いたことは結構忘れなかったりすると思います。現実社会では失敗すると取り返しのつかないと思うのですが、ゲームの中であれば仮に失敗したとしても次に失敗しなければいいと思うのでそこを体験できる所はメリットだと思います。
私が子供の頃によく遊んでいたボードゲームだと漫画やアニメキャラ系のカードや盤ゲームをやっていたのを思い出しました。最近では人気著名人たちがボードゲームをやっている動画配信を拝見することが多く、ボードゲームについて色々聞いてみると奥深くなってきていると思いましたし、今後はゲームがどう進化していくのだろうかが楽しみになりました。
大下さん、ありがとうございました。
(制作:香月さん)
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