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急行!異世界行き

 教室の窓から外の景色に目をやると、穏やかな春の風景が広がっていた。心地よい風が桜の花びらを揺らし、平凡な日常が流れているように見えた。だが、その平和な光景が一瞬で崩れることになるとは思いもしなかった。

 放課後、私はいつものように通学電車に乗り込んだ。車内は混んでいて、窓際の座席に座ることができなかった。仕方なく、私は立ったままスマホをいじりながら時間をつぶしていた。そのとき、ふと目を上げると、窓の外に奇妙なものが見えた。

「あれは……UFO?」

 一瞬、目の錯覚かと思ったが、他の乗客も窓の外を見てざわついている。銀色の円盤が空に浮かんでいるのがはっきりと見えた。その瞬間、電車が急停止し、車内はパニック状態になった。

「みんな、落ち着いてください!」

 車掌がアナウンスするが、誰も聞いていない。

 私は周囲の混乱を避けるため、車内の端に身を寄せた。すると、突然、見知らぬ男性が近づいてきた。

「君、ここから出た方がいい」

「え、何で?」

「彼らは来る」

 その言葉の意味を理解する間もなく、電車の窓が一斉に割れ、異形の生物たちが車内に侵入してきた。彼らは人間の姿をしていたが、目は異様に大きく、肌は青白かった。まさに異世界からの訪問者だった。

「擬態生物……」

 その言葉が頭をよぎる。彼らは人間に擬態していたが、本当の姿は全く異なるものだった。電車内は阿鼻叫喚の地獄絵図となり、私はただ呆然と立ち尽くしていた。
 しかし、その時、またもや例の男性が私の手を引っ張った。

「早く、ついて来い!」

 半ば強引に引っ張られ、私は電車の非常口から外に出た。そこには奇妙な装置が置かれており、彼はそれを操作し始めた。

「これは何?」

「これで異世界に戻れるんだ。君も一緒に来るんだ」

「え、異世界?何言ってるの?」

「君も本当はこっちの世界の住人なんだよ」

 その言葉に私は愕然とした。平凡な女子高生としての生活が一瞬にして崩れ去り、異世界からの来訪者である自分に気づかされたのだ。

 装置が光り始め、私たちは眩い光に包まれた。気がつくと、そこは見知らぬ異世界だった。銀色の建物が立ち並び、空には異形の生物が飛び交っていた。

「ここが、君の本当の故郷だ」

 その男性の言葉に、私は言葉を失った。 
 しかし、不思議と懐かしい気持ちがこみ上げてきた。彼の言葉通り、ここが私の本当の故郷なのかもしれない。

 だが、その瞬間、彼の姿が徐々に変わり始めた。人間の姿から本来の異形の姿に戻っていく。

「なぜ……」

「君をここに連れてくるための擬態だった。役目は終わった」

 彼の言葉に、私は震えた。これまでの平凡な生活がすべて仕組まれたものだったと知り、驚愕と共に新たな世界の一員となることを受け入れざるを得なかった。

 その日から、私は異世界の住人として新たな生活を始めることになった。平凡な日常はもう戻ってこない。だが、それでも、この新しい世界での生活に希望を見いだしていくのだった。


ii 異世界の真実

 異世界での生活が始まってから数ヶ月が経った。ここでは、日常生活のすべてが驚きの連続だった。地球の常識は通用せず、空を飛ぶ生物たちや重力の異なる空間、そして異様な風景が広がっていた。

「リナ、今日も訓練があるぞ」

 異世界でのガイドとなったアルスが声をかけてくる。

「わかった。すぐに行く」

 異世界での生活は平和とは言い難かった。私たち新参者は、毎日のように戦闘訓練や異能力の開発に励まなければならなかった。理由は単純だ。ここでは、常に何かしらの脅威が存在していたからだ。

 訓練場に到着すると、他の新参者たちがすでに集まっていた。皆、地球から連れてこられた人々だ。私はアルスの指導のもと、異能力の訓練に取り組むことになった。

「リナ、今日は擬態能力の制御を学ぶんだ」

 擬態能力は、異世界の住人にとって基本的な能力だった。彼らはこの能力を使って地球に潜入していたのだ。私もその能力を持っていることを知り、驚いたが、今ではそれを受け入れざるを得なかった。

 訓練が始まり、私は自分の姿を変える練習を続けた。初めはうまくいかなかったが、次第にコツをつかみ、徐々に他の生物の姿に擬態することができるようになった。

 訓練が終わると、アルスが話しかけてきた。

「リナ、少し話があるんだ」

 彼に連れられて、訓練場の外に出る。そこで、アルスは真剣な表情で語り始めた。

「君に伝えなければならないことがある。君がこの世界に連れてこられた理由だ」

「理由?私は異世界の住人だったんじゃないの?」

「そう思わせるための偽りだったんだ。実際、君は地球の住人でありながら、特別な存在だ」

 アルスの言葉に、私は驚きを隠せなかった。自分が異世界の住人だと思い込まされていた事実に、ショックを受けた。

「君には特殊な能力がある。擬態能力だけではなく、異世界と地球を繋ぐ鍵となる力だ」

「どういうこと?」

「君の存在が、異世界と地球の均衡を保つために必要なんだ」

 その時、突如として異世界の空が赤く染まり始めた。巨大な裂け目が現れ、そこから異形の生物たちが次々と現れた。

「何が起こっているの?」

「敵が攻めてきたんだ。君の力が必要だ、リナ!」

 アルスの言葉に、私は覚悟を決めた。異世界の住人としての訓練を受け、今こそその力を発揮する時が来たのだ。

「わかった。やってみる!」

 私は自身の力を解放し、空に向かって手を伸ばした。すると、巨大なエネルギーが放たれ、異形の生物たちを押し戻した。アルスと他の仲間たちも力を合わせ、敵を撃退していく。

 戦いが終わると、アルスが私に近づいてきた。

「君の力がこの世界を救った。ありがとう、リナ」

「私は……本当にこの世界の住人ではないの?」

「そうだ。しかし、君はこの世界の一員でもある。君の力は両世界の平和を守るために必要なんだ」

 その言葉に、私は新たな使命感を覚えた。自分がどの世界に属しているかはもう重要ではない。私には、守るべき世界がある。地球と異世界、二つの世界を繋ぐ存在として、これからも戦い続ける決意を固めた。

 異世界の真実を知り、私は新たな一歩を踏み出した。平凡な日常はもう戻ってこないが、それでも私は希望を持ち続けている。両世界の平和のために、私は戦い続ける。

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