どんぐり、マテバシイを食す。
シイの名がつくどんぐりは、アクがなく食べやすいのだと聞いた。
そして栗で味噌を作るというのも真似して、どんぐりで代用してみた。
やりたいことのブリコラージュ。今回は、どんぐり味噌の仕込みまでをレポートしました。
☆どんぐり味噌
おそらく日本一野生的な味噌。
つくり方は、簡単に言うとマテバシイを茹で、潰して麹と塩と混ぜて合わせて待つだけです。
はじめに
まず拾ったマテバシイの実をさっと洗う。
陰干ししたら、少量ずつ揚げて(油に触れる浅さで)、皮をはぜさせたら、むく。
油が深すぎると、爆破します。
写真は、皮がはぜて、むきやすくなった様子。
どんぐりは、自分で拾ったものです。大人が一緒懸命にどんぐりを拾う姿ってどう見えるのでしょうか。
とりあえず子どもと一緒に拾うのが楽しいです。
この状態で、マテバシイは食べられます。栗に近くホクホクした食感です。
☆そのまま食べるなら、乾煎りでオッケーです。
☆マテバシイと、間違えやすのがコナラです。マテバシイは、お尻の部分が凹んでおり、指でつまんで平らなところに立てることができます。コナラのお尻の部分が丸く、絶対に立ちません。
このどんぐりの採集場所は、息子に聞きました。息子は保育園で年上の学年から聞いたそうです。
私は、代わりにこのどんぐりの名前がマテバシイであり、食べられるのだと教えてあげました。
拾うのは誰でもできますが、どこでマテバシイが拾えるかが問題。あらかじめ昨年の秋にリサーチしておきました。
そして皮を剥いたマテバシイ。
さらに茹でて、二回の上わ水を捨て、アクを抜いておきます。
アクの少ないシイ類ですが、茹でるとやはりどんぐり、少しアクがでました。アクの色は薄い茶色で、他のどんぐりみたいなとんでもない苦さではないです。
20分程度茹でましたが、豆のように柔らかくはなりませんでした。
続いて、うぃーんと。実を潰すのにミキサーを使用。
☆割と硬くて、ミキサーは苦戦。
先人はきっと石皿と叩き石で潰したのだろうと想いをはせながら、茹でた実が冷めるのを待ちます。
うぃーんと潰した実に、塩と麹を混ぜ、
団子状にします。
温かいうちにするそうですが、潰すのに手間どって、冷めてました。
あとは団子を容器のそこに詰め、なるべく空気を抜きながら詰めて、重石をしておきます。
あとは、待ちます。
いつまでかというと、来年の秋までです。
オチが無くて申し訳ないので、今年の秋にどんぐりで味噌を仕込むのがとても楽しみであったことを申しそえておきます。
なぜなら、こだわりがハンパないからです。
こだわりどころ
1.どんぐりを原材料に。
2.自家採取麹を使うこと。
この二点につきます。
落ちてまもないどんぐりを、いち早く拾いましょう。アク抜きが不要で、食べられるどんぐりは貴重、先人達は競って拾ったことでしょう。
それだけでなく麹は、こだわって自家製のものを使用しました。
麹は、市販の麹を使う方が一般的だと思います。さらに、こだわっている方ですと種麹を増やして使う方もいます。
ですが、今回は、さらにワイルドに、種麹も自然のコウジカビを採取してみました。
自家採取はまだ練習中です↓
(ただ米だけは自家製でないんだけどな。親戚からのいただきもの)
自家採取は、今年の五月に我が家の部屋の中でコウジカビを採取しました。
それをさらに蒸し米につけ種麹にしました。
種麹にコウジカビらしきものがついたあと、麹特有の匂いを嗅いで判断します。これは結構、勇気が入ります。
また酸味が強いことから黒麹だと考えています。
↑多分。
始めに種麹として増やす米には、無農薬無肥料の特別栽培米の玄米(健康食品店で購入)を使用しました。
無肥料の窒素分が少ない土で栽培するためタンパク質よりもデンプンが多いのかと。腐敗しにくく、種麹にしやすいのだそうです(渡邉、2013年、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』、第二章菌の声を聴け(発酵))。
うんちくは、ここまで
こだわりどんぐり味噌、結果は来年です。
レシピ
マテバシイ 600グラム、
麹(自家採取)300グラム、
塩 200グラム。
☆どんぐりの甘さに期待し、麹を半量にしてみる。(豆だと麹は豆と同量)
今回の話、ふと、味噌を仕込む話。
それが、どんぐりと自家製麹で作るというこだわりの話。
参考文献
(発酵について)
渡邉格・麻里子2021『菌の声を聴け』ミシマ社
小倉ヒラク2017『発酵文化人類学』木楽舎
渡邉格2013 『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』講談社
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