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【Marche Interview #03】仕事と楽しみの間にある、4時間限りの私のお店/デザイナーMidoriさん(Andiamo al parco)

 マルシェインタビュー3人目は、雑貨の店舗です。書籍では雑貨店のインタビューは掲載していませんので、本当に最初のお一人目となります。21年前に今の事業を始められ、メイン商品となるポーチは、お客様はもちろんマルシェ出店者や事務局メンバーにも大人気!Andiamo al parcoのMidoriさんにお話を伺いました。

モノを売るのではなく、生活に関わる仕事をしたい

ー改めてですが、どのような経歴で今の仕事につながってるんですか?
 子どもの頃からデザインとかが好きで、将来はデザイン関係の仕事をしたいと考えていて、ファッション学校を出てからはアパレルでパタンナーをしたり、ブティックで勤めていたり、バイヤーをしたり、店舗開業をしたりと一通りの経験をしてきました。その後出産で仕事を一旦離れたんですけど、二人目の子どもが生まれた後に、何かしたい!と考えて行動をはじめ、子ども服を自分で全て作っていたということもあり、最初はブルマの製造と販売をはじめることから仕事を再開しました。その後、今のバッグやポーチの製造をメインにした活動にシフトしていきました。バッグをメインにしているのは、お客様が持ちあるいてくれてブランドが広まっていくので、店舗を持たない私には良いなと思いそうしています。

▼Andiamo al parcoさんのポーチ▼

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ー具体的に、販売はどうしているんですか?
 受注会がメインで販売しています。最初は、千葉の知り合いが自宅に人を集めるからやってみない?ということから始まりました。自宅では狭いのでギャラリーを借りて行うようになり、私が岐阜出身で名古屋にもお客様がいたので名古屋にもギャラリーを借りてと他の地域へ広がりました。そこから、神戸には素敵なお客様がたくさんいるはず!とやってみたいと思って神戸にもギャラリーを借りて受注会を実施と、様々な場所で受注会をするようになりました。神戸の時には知り合いが一人しかいなかったけども、やらないと始まらないのでやり始めました。
 最初は、開催してもお客様が来ない日もあったりとかありましたが、今はお客様の数も増えているので、受注会を開催する時にはメールで告知をするとそれに合わせてきてくださいます。お客様の大半は主婦の方で、うちでの買い物を楽しみにしてくださっています。

ー受注会の仕組みを具体的に教えてください
 マルシェで販売しているバッグやポーチとかをセミオーダーで依頼を受ける販売方法です。お客様が生地とサイズとかをその場で選んでいきます。オーダーだと一か月半などお渡しするのに時間がかかるので、今すぐほしいという方のために、私がこだわったバッグを製造していきその場での即売会もやります。結果的に、オーダーもしてくださり、その場で購入もしてくださるお客様もいますね。
 お客様にとっては、自分で生地を選び、ブランドタグも20種類以上の中から選んばれるので半分デザイナーのような気分でつくれるので、出来上がったものってお客様にすごく合っているんですよね。だから自信をもって使ってくれるというのが受注会の魅力だと思います。お客様本人のものではなく、誕生日祝いでプレゼントとしてオーダーメイドをつくられる方などもいますね。
 こうしてお客様と対面して会話をしていきながら販売をしていくのが楽しいので、私はモノを売りたいというより、その人の生活の中に関わりたいという仕事のスタイルでいきたいです。

ー商品は増えていってるんですか?
 ワンピースは私が自分で着られるワンピースが欲しいなと思ったら背が高いのもあり中々商品が無くて数年前に自分でつくりました。私がそれを着ているとお客様も欲しくなるだろうな、というのが分かっていたので、オーダーメイドで展開したらとても人気になってます。これも私ともう一人のスタッフで全て製造してます。他にもポーチのサイズなどどんどんとバリエーションや商品は増えていってます。

私の大好きな場所に、私の4時間のお店をつくる

-マルシェ出店のきっかけを教えてください
 以前、十数年受注会をしていく中で、ある雑貨店舗との取引が始まり、そこが都内十数店舗にまで拡大していくことで販売先が広がっていったことがありました。ただやり続けていくと月間の製造量も数千個とかになってきてキャパを超えてきて疲れてきてしまい、卸売りだとお客様にも会えないのもあったのですっぱり辞めたんですよね。それで受注会だけにしたら時間ができたのでマルシェ出店が出来るなと思いました。その頃にヒルズマルシェが始まったんです。
 ヒルズマルシェにはご縁があり、昔、ヒルズマルシェの隣にあるANAインターコンチネンタルホテル東京の中のブティックで勤めていたことがあり、当時はお昼とかをカラヤン広場で食べるのが好きだったんですよ。あの空間が大好きで、そこでマルシェが始まったんだと知り見に来たんですよね。それで私は絶対にここで立っているべきだと思って出店を決めました。受注会とマルシェ出店をしている今の方が、デパートとかに卸していた時よりも、販売した相手が分かるので満足度が高いですね。

ーマルシェに出店されてみてどうでしたか?
 初めて出たのも初めてのお客さまも覚えてます。凄くワクワクして出店しました。今もそうですが、当初から変わらないのは、あそこの場所で売りたいものを持っていくようにしています。受注会もあるので、たくさんポーチをつくってます。その中から、明日は晴れるからとか連休後だからとか、天気や状況などを考えながら売れるようにとポーチの色などを考えて選んで持っていくようにしています。それは、そこが4時間の自分のお店であり自分でコーディネートしていけるので、色々と考えて毎回少しずつ違う感じで持っていきます。それが当たりかはずれかありますが、売れなかったとしても誰のせいでもなくてまた次につながると思っているので、出続けることも大切だと思っています。

会いに来たくなる、を目指して

ー出店し続けている中でマルシェはどんな位置づけですか?
 受注会やマルシェを含めてお会いしたことがある方にしか販売をしていないので、マルシェでは私に会いに来てと贅沢なことを言ってます。それでお客様が受注会やマルシェに来てくれます。マルシェの場合は、それでわざわざ来てくださったお客様なので、自分のお店だけではなく、その方の生活に似合った他の店舗を、例えば帽子屋さんだったり、MARCOMAR JAPONさんだったりとチョイスして紹介する役もしてます。やっぱりお客様をより楽しんでもらう為にもそこに居たいなと思います。お昼食べてなければ近くの美味しいお店を紹介してあげたりもしますし、そうするとお客様がまた来たいと言ってくださるのでそれってすごい大切なことなのではないかなと思います。うちの店舗だけで終わりでは可哀想ですよね。
 あと、サントリーホールのコンサートを聴きに来られたお客様が立ち寄って購入された時に、今度こういう受注会があるんですよってご案内をすると本当にそこから来てくださる方がいるのは嬉しいです。新規のお客様との出会いの場にもなってます。なので本当に楽しいですね。
 名古屋でもマルシェに出店をしていますが、ずっと出てた場所はもう終わってしまったんですけど、違う場所が出来てそこに出ています。東京と同じように名古屋も定期的に受注会をしているので名古屋の受注会のお客様が来てくださるので楽しいですね。

ーマルシェの魅力ってなんだと思いますか?
 私にとっては何を買うかよりも、誰から買うかが重要だと思うんですよね、特に女性にとっては。同じような商品を売っている時に、仲の良い農家さんやおじちゃんから買いたいと思うので、お客様からみてそう思われる出店者になりたいですよね。例えば、プレゼントを選ぶ時に、緑さんのポーチが売っているからマルシェに買いに来たというように選ばれたいです。特に、今は会話をしなくてもモノが買える時代なので、そこに会話がありそれが楽しければ尚更なのでマルシェはそれを求めに来ている方が多いなと思います。

~インタビューを終えて~
 マルシェでの出店を「自分のお店」だと考え真剣で挑み、かつ自分のお客さんを他の店舗に紹介して満足度を高めているというのは、事務局としては模範的すぎる出店者例で嬉しくなりました。ジャンル問わず、ビジネスがしっかりできている方々の行動や考え方が参考になることが多いですね。
 Midoriさんに限らず、マルシェには様々な雑貨(帽子やポーチ、洋服、イラスト、アクセサリーなど)のお店が来てくれます。私自身、マルシェを運営するという活動が無ければこうしたアートな作家さんたちと出会うことは無かったと思うと、マルシェの出逢いというのは面白いものです。

■雑貨の方以外にも農家さんやお客様のインタビューも読める書籍発売中!
 『マルシェのつくり方、使い方: 運営者・出店者のための教科書』

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