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読書感想『ノモレ』:「友」を見つける姿勢とは?

__敵か味方かもわからない人を、友と呼ぶ。

その姿勢に想いをはせる本だった。


今回読了したのは、

『ノモレ』 著:国分拓
南米アマゾンの謎の部族「イゾラド」を描いたノンフィクションである。

舞台は、ペルー。
密林の奥地では、21世紀の今もなお、狩猟採集を続ける部族が存在する。
「イゾラド」と呼ばれる彼らは、近代文明との接点がなく、その実態には謎が多い。
どこに暮らしていて、何を食べ、どんな言葉を話し、どんな生活をしているのか、何もわからない部族である。
近代文明を避け、奥地に隠れ住んだ彼らも、密林の縮小と共に、辺境の村に姿を見せ始める。
そんなイゾラドと交渉に乗り出したのが、文明化した先住民の男、ロメウ。
ロメウは、彼らを「ノモレ(友)」と呼び、信頼を得るために交流を重ねていく。
この本は、ロメウがイゾラドと交流を試みた2013〜2015年の日々を描いている。

心に残ったのは、先住民の「友」への姿勢だ。

先住民は、見知らぬ他人と遭遇しても、すぐに攻撃しないという。
弓を向け合いながらも、言葉を掛け合い、敵か味方かを必死に探り合う。
互いに共通するものが見つかれば、友。
友であれば、弓をおろし、話し合うことができる。

ロメウにとって、イゾラドは未知の存在である。
だが、イゾラドは、ロメウの「友よ」という呼びかけに答えた。
だから、ロメウは、彼らを「友」と呼ぶ。

見知らぬ誰かと遭遇しても、まず「共通点」を探し出す努力をする。
このマインド、私たちにも必要だよな、と思う。

日々の生活を思い出してみる。
言葉・装い・価値観が違う人と、私たちは日々出会っている。
そんななか、私たちは「どこか違う人」を、どう思っているだろう。
「どこか違う」と云うだけで、自動的に「わたしと無関係な人」カテゴリーに入れてしまっていないだろうか。
私? めっちゃやってる。

自分と違う人と分かり合えるかは、わからない。
分かり合えないことも、あるだろう。
でもまずは、分かりあうための「とっかかり」がなければ、交流は始まらない。

誰かと出会ったとき、まずは「共通点」を見つけようとする姿勢、心に刻み込んでいきたい。


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