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【徒然なるままに】#87

 サリンジャーの小説を目にしたのは、新訳の「ライ麦」が出たときだった。そのときの自分がどんなだったかは全く覚えていないのだが、あまり読み進めることができなかったことはよく覚えている。たしか途中でやめてしまったのだ。その後数年前、旧訳を手に取った。一度はちゃんと読んでみたい、という気持ちがどこかにあったからかもしれない。
今度は一気に読んでしまった。本当に面白かったので、「ナイン・ストーリーズ」も読んだ。これも面白くて他の本も買った。新訳、旧訳のどちらかが優れているという話をするつもりはなく、ただ、なんとなくタイミングというものはあるだな、と漠然と思った。
 旧訳のサリンジャーを若い頃に読んでいたら、現在よりもっと世の中を斜めに見たか、あるいは反面教師で真っ当な人生を歩んだのかは、今となっては知る由もないが、はっきりとしているのは、若い頃の自分はサリンジャーを手に取らなかったし、その後年齢を重ねてから読んだ、ということだけだ。

 自分たちにとって都合の良い人々だけを周りに残した結果、その後がひどいことになる、ということが官民関わらず起こっているように見える。未来志向で言えば、いろんな意味で保身というのは全く有効ではないのだけれど、どうやら自分の乗っている船を沈めるという想像力は全く持ち合わせていないようだ。都合の良い、というのは近い未来、都合の悪い出来事を招く。自分たちにとって耳の痛いことを言ってくれる人を残せば、多少様々な事態は変わってくるだろう。もっとも、聞く耳を持たなければ同じなのだが。
#日記 #ブログ #サリンジャー

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