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映画「グリズリーマン」

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『グリズリーマン』2005年。アメリカの熊愛好家ティモシー・トレッドウィルがアラスカにおいて13年に渡り野生の熊と友情を築き上げていく姿を捉えた感動のドキュメンタリー。

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と、思いきやこの作品は非常に奥が深い。まずこの熊愛好家のティモシー・トレッドウィルという人物がとても子供っぽく、ある意味において、精神的に未熟な部分が映像によって少しづつ浮き彫りにされていく。熊に対する愛情が溢れているのは伝わるのだが、熊を擬人化して、彼らに名前をつけ、時には体を触れあったりもするのだか、相手は野生の熊である。見ているこっちがハラハラする。

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彼はこう言う

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「熊は友達だ」

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と。果たして野生の熊からしたらトレッドウィルは友達なのだろうか?10年近くも顔を会わせていたら、さすがに友達になるのかもしれない。確かに映像を見る限り友達のようにも見えなくもない。

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しかし、2003年。アラスカを訪れるようになって13年目の夏の終わり。トレッドウィルと恋人のエイミー・ヒューグナーはヒグマに襲われ、ほぼ完全に捕食された。

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現場で回収されたビデオカメラには映像は残っていなかったものの、二人が熊に襲撃された時の悲痛な叫び声が記録されていた。

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野生の熊は友達ではない。獣である。

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野生の本能に忠実に従う生き物であって、いくら名前をつけても人にはならないし、愛情を返す事もない。

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ある側面から見ると環境保護活動家、熊保護団体の創立者、そしてまたある側面に目を向けると、幼稚で死亡願望を持つ不安定な人間。

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トレッドウィルがアラスカ滞在中に撮影した映像を交えながら監督は彼の二面性による矛盾を少しづつあぶりだしていく。

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とても悲しいけれど、とても感情に触れるドキュメンタリー映画だった。

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観たのはずいぶん前だけど。

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