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あなたは目が滑る文章を書いていませんか?

目が滑るってどういうこと?


 読んでも頭に入らない(理解できない)文章があります。目が滑ってしまって、読み飛ばしをしてしまう文章です。
 
 例文を表示します。

 戦場での戦いは苛烈を極めた。戦え、戦うのだ。戦姫が兵士を鼓舞する。乱戦になった。ジャン・ピエールは、剣を振り回して戦った。

 この短い文章に「戦」が7つも入っています。

 同じ文字が狭い場所にたくさん出ると、目が滑ってしまう、読み飛ばしをしてしまうんですよ。これは人間の目と脳の特性です。

 人によっては、戦場で戦った、しか頭に入りません。読めないのですから、わかりにくい文章になります。
 
 添削をしていると、こういう文章を書いている人、たくさんいらっしゃいますよ。音読すると、戦争はせんだし、戦いはたたかいだからです。

商業小説が目が滑らない理由

 プロでもたまにやらかします。商業出版物の場合は、編集者と校正者がチェックしてくれます。校正者は同じ文字が頻出しているところを○で囲み、頻出と書いて注意を促してくれます。なので、作家がわざとやっている場合を除いて、こういう文章はないはずです。

 例の文章を書き直してみますね。

 ヘイネス高地での戦いは苛烈を極めた。「行け! 勇気ある男たちよ!」戦姫が指揮棒を振り回して兵士を鼓舞する。敵味方入り乱れての乱戦になった。ジャンピエールは、剣を構えて前に進んだ。

 戦が二つになりました。

 ちょっとしたことです。ですが、この小さなことを気にかけることで、読者さんの読解力を迷子にさせずにすむのです。

頻出文字を無くすには?


 書き上げたあと、頻出文字をチェックしましょう。

 スマホで書いている人はタブレットで確認するとか、横書きの方は縦書きにして読み返すとか、印刷して鉛筆でチェックするとか、友達に読んでもらうとか、いろんなやり方があります。みなさんも、みなさんなりのやり方で、文章をブラッシュアップしてくださいね。

 動画はこちらです。

動画も見てくださいね。理解が深まりますよ。ユーチューブは以下から登録できます。登録は無料です。https://www.youtube.com/channel/UCMPxcLSOjZnM9P5w7CYB7yQ?sub_confirmation=1

 なお、頻出文字があるNG文章をドリルにしています。本気で文章に取り組みたい方は、解いてみてくださいね。

小説道場ドリル 

 目が滑る文章を読みやすい文章に書き換えましょう。

以下はドリルです。解答例は有料100円です。

【問題1】
 私は着物を着た。着物の着付けは着付け教室で着方を覚えた。母の残した着物は着物らしい華やかな柄で、着ると着物の背筋が伸びる心地がする。私は着物をもっと着たい。

 3行の中に着の数が13個も入っています。着の数を減らして書き直してください。

【問題2】
 歩兵は徒歩で歩いて行く。歩幅を合わせて行進するのは、初歩の初歩の訓練だが、みんなつらそうに歩いている。

 2行の中に歩の数が7個入っています。歩の数を減らして書き直しをしてください。

【問題3】
 アルスは悪神と対峙した。「ハッ」悪神を相手に神速の剣を振るうが、剣はことごとくかわされる。
「なんてすごいんだ……」
 神懸かりしたかのような体さばきに感心したが、苦笑する。悪神であろうと神は神だ。こちらの動きを読んでいるのだ。神殺しをすると誓ったではないか。アルスは剣を構え直した。

 7行の中に神が8個入っています。神の数を減らして目の滑らない文章に書き直してください。

【問題4】
「どうぞお召し上がりを」
 召使いが促した。私は遠慮無くディナーを頂いた。
「お気に召されたようでうれしいわ。主人は神に召されてしまいましたの」
 バレンタイン夫人が言った。
「奥方様は、だからあなたをお召しになったのです」

 5行に召が5個入っています。召の数を減らして目の滑らない文章にしてください。

【問題5】
 寺子屋での授業は、読み書き算盤が中心だ。書写の教科書を書き写し、読んで書いて書きまくる。綺麗に書くより、読みやすく早く書く。商人の子にとって書は道具である。

 3行の中に書が9個入っています。書の数を減らして、目の滑らない文章にしてください。

解答例は有料100円です。
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