見出し画像

主張しないから守られてきた⁉ まちの素朴な魅力【福井県小浜市を発掘!】

今回の発掘は小浜市です!
かつて、大陸や朝鮮半島、そして京都と深くつながりがあった文化都市・小浜。
小浜市をはじめとする旧若狭国はかつて、海産物などを京の都に運ぶ御食国みけつくにでもあり、多くの人やものが行き交っていました。
そんな歴史によって、食や祭礼などのさまざまな文化が現在でも息づいており、お隣の若狭町とともに文化庁が創設した日本遺産第1号として認定を受けています。

貴重な歴史や文化を持っていると、どうしても周りに主張したくなるものですが、そうして発信されたものがやがて観光地化し、本質が変わってしまうこともしばしばあります。
しかし、今回訪れた小浜市では、そうした守り伝えられてきた古き良きものをひけらかすことはせず、静かに大切にすることで、本来の素朴な魅力がそのまま残っている場所を見つけることができました

知られざる情報が集まるお店【アイザワ商店】

画像1

以前の小浜市発掘で訪れた『アイザワ商店』さん。
宮川地区の奥まったところにひっそりと佇む古民家が、カフェレストランとしてオープンしています。
まるで田舎の親戚の家に来たような素朴な雰囲気に、心が落ち着きました。

画像2

▲店主の相澤弘美さん

店主の相澤弘美さんは宮城県出身ということもあり、お店のメニューには、山形の芋煮やスルメの出汁が染み込んだ玉こんにゃくなど、東北地方の味付けがなされた郷土料理なども多いです。
しかし、使われているのは主に若狭の野菜。
東北と北陸のコラボレーションを楽しむことができるのが特徴です!

画像3

この日いただいた『けの汁』は、青森県津軽地方に伝わる郷土料理とのこと。
だいこん、にんじん、ごぼうや山菜、油揚げや凍み豆腐などを細かく刻んで煮込んだもので、体に優しい感じがするお汁でした!

そんな相澤さんに小浜市のオススメを聞いてみました!

画像4

相澤さん「オススメか~。ちょっと待ってね、考えるね…

・町家を改装した『ナガタカフェ』さん
・牡蠣や魚のしょうゆ干し『藤田商店』さん
・竹田恵子さんという作家さんのガラス工房『KEiS庵』さん
・ふくいサーモンの養殖をしている宇久の『浦谷』さん
・和菓子、洋菓子なら『志保重』さん、『木屋傳』さん、『井上耕養庵』さん、今年開店した『Patisserie CACHE-KACHE』さん
・トトロが出てきそうな『椎村神社』
・かわいいこま犬がいる『白山神社』

とかかな~?あとは…」

すごい!ポンポン出てくる(笑)

知られざる魅力を発掘している我々にとっては、大変貴重な情報!
どれも気になるのですが、今回はこの中からいくつかピックアップして発掘に行ってみたいと思います!

画像5

アイザワ商店には貸しスペース(よろずスペース『こしぇる』)もあり、この日はイベントが開催されていました!
『アイザワちゃんの日』と称されたイベントで、“店主の相澤さんがが楽しい一日を過ごせる”というコンセプトの企画のようです。

このイベントに出店者として参加していたタロットリーディング『かぴばらぶ』の中川香織さんと、帽子や手作り小物販売の『アルヒハ』の田中恭子さんにも、小浜市のオススメを伺ってみました!

画像6

▲田中恭子さん(左奥)中川香織さん(右)

中川さん「あ、何でもいいの?じゃあ…

・チェロと共演するなどの活動をするフラワーアーティスト『marika jardin』さん
・『cafe縞』さん(若狭町)
・店主がハンドメイド作家もされている焼肉屋『寿寿円』さん(若狭町)
・三方観音の近くのかわいいケーキ店『Patisserie Plume』さん(若狭町)
・地元の女性たちが平日だけ営業しているお店『里山カフェ&クラフトギャラリーここいろ』さん(若狭町)
・ディズニーランドでダンサーをしていた夫婦がやっているピザ屋『ウッディーパパ』さん(美浜町)

…とかかな~?あとは…」

こちらもたくさん出てきました!(笑)

この質問を投げかけると皆さん頭を悩ませるのですが、お二人とも次から次へと提案してくれました!
普段からアンテナを張っている相澤さんの周りには、自然とそういった人が集まってくるのでしょうか。

他にもオススメの場所や人がたくさんありそうでしたが、今回は、こちらの情報を元に小浜を発掘してみたいと思います!

アイザワ商店
福井県小浜市加茂78-5
https://www.facebook.com/aizawashoten/

ひっそりと守られてきた文化財たちに出会う【加茂神社】

画像7

次の発掘に向けて出発しようとしたところ、見覚えのある看板が!

画像8

以前発掘した『加茂古墳群』ではありませんか!
しかも北古墳!(以前発掘したのは南古墳)

南古墳は洞窟のようになっていて一同非常に興奮したわけですが、北古墳はどうなってるんだろ~?ってことで行ってみました!

画像9

たぶんここが入口だ!
雰囲気は南古墳にそっくりですが、こっちは、開口部が大きくて入りやすい!嬉しい!(笑)

画像10

中が洞窟のようになっているのも同じですが、石室内を立って歩くことができます。
南古墳では泥だらけになりそうになりながら、しゃがんで中に入ったので、こっちのほうがハードルは低いですね!

画像11

中も広い!!
しかも天井に開口部があり、光が入ってくるので、足元も見えやすいです!
それにしてもこんな大きな石、重機もなかった時代にどうやって積んだのでしょうか。

画像12

人類の不思議なパワーに思いを馳せつつ、外に出てみると、加茂神社の看板!
これも以前の発掘時に気になっていた神社です。
大きな御神木があり、奥には重要文化財がさりげなく置いてあるとの情報がありました!

せっかくなので行ってみましょう!

画像13

鳥居をくぐるとすぐそこに…

画像14

ありました!巨大な御神木!
推定樹齢約500年、小浜市の文化財にも指定されている御神木だそうです。

加茂神社ではオイケモノ(芽立ち神事)という珍しい神事も行われています。
1年間地中に埋められた7つ物実ものざねの発芽状態で、その年の豊凶を占うものだそう。
8世紀ごろから続いていて、こちらは国選択無形民俗文化財なんだとか!

画像15

加茂神社の奥に続く道を100mほど進むと、為生寺いしょうじというお寺もあります。このお寺の観音堂に安置されている『千手観音菩薩立像』は、国指定重要文化財にもなってるとのこと!
※今はお堂の背後につくられた収蔵庫に保管されているようで、見ることはできませんでした。

画像16

さまざまな文化財が眠っている、おそらくすごいスポットなのだと思うのですが、観光客などはおらずものすごく静かで、それが逆に神秘的に感じました。

加茂神社
福井県小浜市加茂80-4
https://www1.city.obama.fukui.jp/kanko-bunka/jisha-shiseki/72.html

かつての料亭の趣が残るレトロカフェ【ナガタカフェ】

画像17

ここは京都でしょうか?と勘違いしてしまいそうな雰囲気がある『三丁町』にやって参りました!

画像18

その名の通り、三丁(約250m)にわたり風情ある町並みが続いています。
狭い路地、ベンガラ格子や出格子の家や料亭が軒を連ねており、地区全体が国の重要伝統的建造物群保存地区、275棟の建物が伝統的建造物に定められているそうです。

画像19

観光気分で歩いていると、かつて料亭だった建物をそのまま活かした『ナガタカフェ』を発見!
看板がやや小さいので見落としてしまいそうですが、カフェの営業中はのれんが出ているのが目印になっています。

今回は営業終了時間のギリギリに訪れたため飲食は出来なかったのですが、店主さんのご厚意で中を見学させていただけることになりました!

画像20

お店の中でも料亭だった頃の名残を感じることができます。
※現在は18歳未満でも入れます。

画像21

建物は、間口が狭く、奥行きが長い典型的なつくり!
かつては間口の広さで税金を決めていたため、税金対策として間口を狭くするのが一般的だったんだそうです。

画像22

かつて、芸妓さんとの宴会や接待で賑わっていた料亭の雰囲気が残っており、とても居心地の良い空間です!
今度は、ここでゆっくりコーヒーでも頂きたいものです。

ナガタカフェ
福井県小浜市小浜香取14
https://www.instagram.com/nagatacafe/

画像23

そして、なんとこちらの建物の2階では、宿泊することができるのです!

画像24

『OBAMA MACHIYA STAY』という分散型ホテルの1つ、『三丁町ながた』として利用されています。
コンセプトは、「京料理を育んだ湊町で暮らすように泊まる」だそうでお部屋にはまさにそんな雰囲気が漂っています。

昔ながらの町家の雰囲気を残しつつリノベーションされており、広々とした部屋とベッドルーム、キッチン、お風呂、トイレつき。
一棟貸し切って過ごすことができるそうです!贅沢!

画像25

MACHIYA STAY三丁町ながた
福井県小浜市小浜香取14
https://www.obama-machiya-stay.com/jp/room/

昭和ノスタルジー!レトロ感がたまらない【ホテルナガタ】

画像26

別の方から、三丁町にある『ホテルナガタ』もおススメしてもらったのでやってきました!
ナガタカフェの裏手に位置し、ナガタカフェ店主のお母様が女将さんだそうです。

画像27

昭和レトロな雰囲気が溢れ出る看板!
この雰囲気、好きです!

画像28

画像29

画像30

廊下や階段に貼られているポスターなどもかなりレトロ!
昭和ノスタルジーに浸りたい方にとっては、たまらないホテルなんじゃないでしょうか!

画像31

昔ながらの雰囲気はあっても、部屋は清潔感があり、快適に宿泊できそうです!

画像32

さらに、屋上からは海が見えるということで、ご案内していただきました。

画像33

この日はあいにくのお天気でしたが、晴れていればきれいな海を一望できます!
また、夏にはここから花火が見えるそうです!

※通常は開放していないので、屋上に上がりたい場合はフロントまで連絡してください

ホテルナガタ
福井県小浜市小浜香取33
https://wakasabay.jp/list/detail?genre=stay&id=5d6f6a177765619cb22b0000

主張しないからこそ守られる奥ゆかしい魅力

今回はアイザワ商店さんをスタート地点とし、小浜市内を発掘調査した訳ですが、守り伝えられてきた古き良きものが、今でも大切にされていることが印象的でした。
しかも、どれも主張しすぎることなくひっそりと佇んでいて、奥ゆかしさ、素朴さがあるのですが、それこそが魅力!というふうに感じました。

貴重な歴史や文化を持っていると、どうしても周りに向けて主張したくなるものですが、今回訪れた場所も人も、それらをひけらかすことなく、ただそれを大切に守り続けているように見えました。
自然に、あるがままにそこにある。
そんな歴史や文化に触れたい方は、小浜を訪れてみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?