わかおの日記321
夕方までなにもなくて、ただダラダラする。何か作ったりしなくてはいけないのだが、パソコンが壊れて無理になった。音楽はもちろんパソコンがなくてはできないし、文章のほうもこういう日記ならいいのだが、小説とかまとまったものを書こうとすると、どうしてもワードとキーボードじゃないと雰囲気が出ない。
仕方がないので、本を読んでいた。カフカの短編集。保坂和志が熱心にカフカのことを書いているので、さぞすごいのだろうと思って、耐えながら読んでいたけれど結局すごいと思う瞬間は訪れなかった。こちらがカフカの言うことを落とし込むのに時間がかかるのだと思う。生きてる間に売れなかったのも納得できる。
夕方から久しぶりに田村くんと会って飲む。田村くんは夏休みからバリバリ働いていて、暇じゃないらしいが、暇じゃない時のほうが元気そうな感じがする。働くことってそういう一面があるような気がする。素の自分と世界の2人きりにさせられると、大抵の人は気まずいみたいだ。サブナードの下水臭い居酒屋でちょっと飲んだあと、アー写を撮るとかいって、田村くんに一眼レフを構えてもらい、新宿の街で自分を撮ってもらった。
被写体になるのが苦手で、いつも彼女から「写真がカッコよくない」と怒られてばっかりいるのだが、田村くんに乗せられながらパシャパシャやられていると、なんとなく自分が新進気鋭のクリエイターになったような気がして、堂々とポーズをとれるようになった。
アー写ってアーティスト写真のことだけれど、アーティストなのか自分は?
なにかアートを作らないといけない、けどパソコンは壊れている。直しに出さないといけない。みんなパソコンを壊さないから、作っていられるのだ。あのひともあのひともみんなパソコンが無事だから、アーティストでいられるのだ。
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