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わかおの日記276

普通の就活なんてハナからする気がないのだが、かといって普通の就活みたいなことをできるのも今のうちなので、安全圏(むしろ危険かもしれない)から必死な就活生を見物してやろうと思い、大学の生協がやっている合同面接会にオンラインで参加した。

口角を上げながら話す練習や、じっと座りカメラを見つめる練習などを人材派遣会社の人にさせられたあと、面接会がはじまる。

この人材派遣会社の人たちは面接のプロらしく、実際彼らの面接テクニックは半端ない。1度「それでは私が話してみますね、内容は適当でも大丈夫です」といって、内容がゼロの自己PRを素晴らしい笑顔と口調でスラスラと唱えていて、これは本当に騙されると思った。普通は会社に入るために面接をやるはずなのだが、この人たちは会社に入ってから面接を練習し、詐欺師になったのだ。そんなに面接がうまいならしょっぱい人材派遣会社なんか転職して辞めてしまえばいいのにと思う。

20分間の間に企業の話を聞いて、少し質問をされる。興味のある会社などあるはずもなく、カメラを見つめ続ける意志は早々に挫ける。

聞かれることといえば「みなさまの就職活動における軸はなんでしょうか?」ということばかりで、もう途中からありもしない自分の軸についてかなり明瞭に話せるようになった。介在価値を発揮したい商学部の男。SDGsを通して人々を笑顔にしたい環境情報学部の女。えっとー、とにかくモノづくりがしたいなって感じでー、まあもちろん直接モノづくりに関われたら嬉しいんすけどぉー、モノっていろんな過程を経て作られるものだと思うんでー、その中のどこかにいられたら幸いだと思いますーの文学部国文学専攻の男。


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