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わかおの日記246

軋轢は加速して風景。適当に毎日を過ごしていたら、レポートの締切が押し寄せ、キャンパスではセミの大合唱、気づいたらぼくは、なんとなく夏だった。

彼女と三田のハブで昼ごはんを食べた。ぼくは懲りずにチキンカレーを注文し、うまいうまいと食べていたら、ジトっとした目の彼女に「カレー食べすぎ、キモイ」と言われた。店内のテレビでは甲子園の地区予選が放送されていて、その時ちょうど日本ウェルネス高校がタイブレークの末に逆転勝ちした。青春の汗と涙がほとばしる。ぼくはスパイスカレーの発汗作用で変な汗をかいて、運動もしていないのになんとなく爽快な気分になったつもりでいる。夏である。

我が国文科唯一の近代文学専門の教授は、悪文書きで知られる冷徹な女史(しかも得意なのはジェンダー論)で、このひとの授業はやたらと課題が多い。期末でもないのに大量の発表資料を書かせ、補足まで課したくせに期末レポートまで更に要求するという鬼畜の所業にぼくは耐えかね、とうとう最後の授業回のリアクションペーパーで苦言を呈した。

「発表資料や補足発表、さらにそこからの進展を含めた期末レポートを要求するにしては、4000字程度というのは字数が少なすぎると思う。字数を増やすか、課題を減らすかしてほしい」高校生の頃、気に入らない授業の文句を学級日誌に書きなぐっていたのを思い出した。自分の根本はあのころから変わっていないのだろう。教授に対する文句を入力したら、体制に刃向かう大義を成したような気分になって、途中のレポートをほっぽり家に帰った。

帰ったら母親がビキニを買ったからちょっと着た様子を見てくれと言ってきて、その少したゆんだ尻に夏の訪れを更に実感したのだった。

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