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わかおの日記221

近現代文学の授業で、三島由紀夫の「女方」という短編についてプレゼンすることになっている。タイトルの通り女方の歌舞伎役者についての短編で、歌舞伎を観たことがないぼくは、一体どうしたものかと途方に暮れていた。歌舞伎と言われて思いつくのは市川海老蔵で、市川海老蔵と言われて思いつくのは遊び方がずいぶん汚いらしいというようなことだけだからだ。

そんな時にタイミングよく母親が特別なルートから歌舞伎のペアチケットをもらって来たので、これ幸いと観に行ってきた。イヤホンガイドを借りてお土産を買い、劇場に入るとそこは新しいながら不思議と歴史を感じさせる空間で、少し引き締まった気分になった。

一つ目の演目は「宮島のだんまり」というやつで、ストーリーらしいストーリーや会話などはほぼなく、豪華な衣装を身に纏った登場人物たちがゆっくり踊っているような感じなのだが、祇王という白拍子の美しさに思わず見惚れた。これは思ったよりあっさり終わった。

二つ目の演目は「達陀」というので、東大寺のお水取りという行事を題材にとった演目だった。冒頭は暗闇の中僧侶が読経しているシーンだったので、眠気に勝てずウトウトしてしまった。ようやく目が覚めると、お坊さんズによるど迫力の演舞が始まった。歌舞伎はなるべくゆっくり歩いて見栄を切るくらいが関の山なんだろうと舐めてかかっていたが、このお坊さんズはバク宙をしていた。ピラミッド型の陣形を組み、先頭の坊主から順番にバク宙をしてそのまま正座するという謎の凄技はかなりインパクトがあった。そして最後は40人くらいのお坊さんズが一堂に会しダンスを見せるのだが、これがまた圧巻で、読経のリズムやダンスの振り付けなど、インド映画に通じるものを感じた。そもそも仏教がインドのものだし、何か関係があるのかもしれない。

三つ目は河竹黙阿弥による世話物「梅雨小袖昔八丈」で、正直これは微妙だった。江戸時代のものだけあって、話自体はわかりやすいし1番演劇チックなのだが、その分セットのチープさや、筋書きのありきたりさが目についた。面白さだけなら落語聴いているほうがいいし。8時半まであるというので辛抱たまらず途中で帰って、東京駅で二郎系を食べて帰った。いい経験をしたと思う。これでぼくのプレゼンにも「深み」が出るだろう。出るかな?

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