見出し画像

28 親戚

入居予定日が決まり必要な物をどんどん買い揃え、引っ越し業者やNTTの手配や郵便局への手続が着実に進んでいるが、まだ母は完全に首を縦に振ったわけではない。
ここから数日にかけて母の説得が始まるのだ。
父は母が納得してくれれば自分はそれに従う、ただし母の気持ちを優先に考えたいという事だった。
つまり母が納得しないのであれば入居を見送るという事だった。
そんなわけで私はとにかくここから数日、家の片付けと母の説得に集中しなければならなかった。

11月の初旬に帰省した時に、数十年疎遠になっている叔父と手紙をくれた叔母と、いとこの3件にあいさつに行った。
彼らはことあるごとに両親の様子を見に行ってくれていたのだが、叔母以外は個人的な連絡先もわからず20年近くご無沙汰していた。
叔父に関しては祖母が亡くなった時以来だから30年振りだった。
父の通院に合わせての帰省だったので、その足で叔父と叔母の家に顔を出した。
日頃お世話になっているお礼と、夫の紹介(入籍しただけだったので親戚には特に何も話していなかった)を兼ねて顔を出し、何か両親に変わった様子があれば知らせてほしいと、私の連絡先を渡した。
この時はまさかそんなにすぐに彼らの協力を得る事になるとは思わなかった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?