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6 いたちごっこ

実家の棚にある物を勝手に捨てるのも気が引けるので、賞味期限切れた物処分するね、と言って食品のついでにプラスチックトレイや、ジャムやノリ佃煮などが入っていた空きビンなどをじゃんじゃん処分していた。
そしてそのついでに都度家の中に大量にある不要品を、車でこっそりとごみ回収所に運んでいた。
1回につき100キロ以上の不要物を年4回、それを3年くらい続けてきていた。
単純計算で1200キロくらいは、不用品を回収センターに運んでいたという事になる。
物のない時代に育った人たち特有の、何でもとっておく習慣が、私には理解できなかった。
包装紙やそれについてきたリボン、レシートや領収書、何年も前の薬の説明書、はたまた母が20代の頃に手編みで作ったワンピース。
安いからと言って大量に購入した布や毛糸、セールでまとめ買いした靴下や肌着。
箱に入った未使用の大皿や重箱。
旅館かと思うほどの大量の客用布団に、笑点でもできそうなほどの量の座布団しかも紫のサテンに、寿 と書いてある大きくてぶ厚い代物。
2階建ての家の中だけでなく、屋外にある物置のなかも、使わないものが何年もただひたすらに詰め込まれていた。
一見表側はスッキリとシンプルな生活をしているように見えるが、物置にしている部屋は何度片づけても、どこからか物が増え、実家を訪れるたびに振り出しに戻っていた。

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