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さて、お弁当における水色の食材について考えよう。

これはアートプログラムであり、最後の仕上げコミュニケーションである。
その名も「お弁当画用紙」
美術家 深澤孝史さんが、療育のための通所施設で考案した親子対象のプログラムだ。
http://fukasawatakafumi.net/works-lunchbox 

プログラムの内容を説明すると、まず子どもにお弁当の形をした画用紙にお弁当の絵を描いてもらい、それを見て親御さんが(正しくは親でない可能性もあるので”保護者”なのだが、本文ではそれを考慮したうえて親と表現する)子どもとお弁当を作る。
出来上がったお弁当の写真を撮り、美味しく食べて、最後に親御さんに感想を書いてもらうという流れだ。

お弁当の絵は、お弁当の枠がなければ、何の絵なのかしら?と思ってしまうものもあるが、それを読み解く親御さんの目は全員漏れなく優しさに溢れている。

こんな優しさを感じ取れた時、わたしの心はキュンとする。
優しさの片鱗・しずくを受け取れた取れた気持ちになり、とっても嬉しくなる。
このプロジェクトを発案してくれた深澤さんにも、これを取り入れた施設の方にも、この作品においてはアーティストの親子にも「ありがとう!」と言いたくなる。
わたしを瑞々しい優しさで包んでくれてありがとう。

ゆるやかな発達の子どもたちを対象とした施設であるから、中には言葉でのコミュニケーションが難しい子もいるだろう。
日常そんな子どもと接する時は、それは当然に、親であり大人であり自身の目線で、何を訴えているのかお腹が空いたのか、背中が痒いのか、外で遊びたいのかを考えるが、このお弁当プロジェクトにおいては、子どもが描いているものをこどどもの目線を想像し、”読み解く”ことが求められる。
お弁当を作る親御さんは、お弁当の絵を通して子どもが見てる世界を擬似体感し、料理という形でコミュニケーションのボールを投げ返すのだ。

同じ水色のクレヨンで線を描いた作品も、親御さんによっては、水色でスパゲッティを染めた方もいれば、ピーマンを添えた親御さんもいる。
お弁当にしては空間あきまくりの、ある意味、高級仕出し弁当みたいな作品もある。
写実的はお弁当の絵はもちろんない。そのため、全てのお弁当はコミュニケーションや想像力をもって完成されている。
しかもそれがお弁当という、ハッピーボックスに詰められる。
なんて愛おしいプロジェクトだろう。

「視点を変えて。」
「相手の立場になって。」
言うが容易いが、行うは難しきことを、
ヒョイと乗り越えることができるのがアートの持つ大きな力だと改めて感じた。

一部HP引用:http://fukasawatakafumi.net/works-lunchbox
写真引用:https://artscouncil-shizuoka.jp/bunpro/blog/programs_nearai_2018-2-10/


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