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選択的夫婦別姓の議論から、日々の意思決定について考える

皆さん、お久しぶりです。喜多村です。

今日はずっと気になっていたテーマについて書きたいと思います。
次期衆院選の政権公約でも争点の一つになっている「選択的夫婦別姓」です。


このnoteを読んでいる方にもいろんな意見をお持ちの方がいると思いますので、これはただの喜多村の一意見として聞いていただければと思っています。

まずはじめに、私自身は選択的夫婦別姓には賛成です。
夫婦同姓かつ96%が男性の姓になるという事実には強い違和感があります。

背景には、姓変更の手続きの煩雑さに加え、私が自分の姓にこだわりを持っていることがありますが、この程度のこだわりでは通用しない「壁」を感じることがあります。「固定化した価値観でつくられた壁」というか。。

私が自分の姓にこだわりを持つ理由はいくつかありますが、最も大きいのは、父は5人きょうだいの唯一の男子である中、私が一人っ子で育ったことです。
親戚の数は多いものの「喜多村」の姓を名乗るのは我が家3人だけで、幼いながらに自分がこの家を継がなければ(別に家業をしているわけでもないですが)という思いが強く、将来は立派に働くんだと考えていたり、お墓参りのたびに親に「このお墓は喜多村家が途絶えたら将来どうなるの?」と聞いていたりしました。
昔からかなり名字に対しての関心が強かったと思います。

ただ、この理由で「それは確かに名字にこだわるべきだね」と誰もが納得されるとは思っていません。逆に「なんでそんな理由で名字にこだわるの?」と不思議がられることの方が多いのはないかと思い、この希望を言い出しにくいというのが本音です。
実際、私の両親でさえも、「うちの家が伝統的な家やったりめちゃくちゃ金持ちやったら分かるけど、べつに何もないからなあ」と言います。

こうしたことから、夫婦同姓しか認められない今の日本で、4%しかいない女性の姓を選ぶには、たとえ「希望」があったとしても「相当な理由」がないと選択しにくいものだだなと私は感じるのです。"制度上"は可能でも、その選択には大きな壁があると感じます。

先日、こんな記事を見つけました。

「名前が変わることをうれしく思ってほしい」(30代男性)、「別姓が嫌で結婚しないなら、その程度の愛」(50代男性)といった根強い反発の声も集まりました

夫婦の絆が必要といった理由で反発する声も多いようですが、実際世界で見てみれば、夫婦同姓という法律があるのは日本だけで、国連も日本の制度を「差別的」であると指摘していると言われています。

このことからは、夫婦別姓によって夫婦の絆が消えるということはあまり考えられないように思えます。
参考:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062300814&g=soc

変化を阻むもの

このように、「固定化した価値観があることで変化を受け入れられない」ということは、選択的夫婦別姓に限らず、あらゆるシーンで見られるのではないでしょうか。
例えば、私が事業を展開しているキャリア領域では、家庭との両立、リモートワーク、副業など。「子育ては主に母親が担うもの」という価値観、「仕事は会社に集まってこそできるもの」という価値観、「会社員は副業をするべきではない」という価値観が固定化していることで、新しい価値観への順応に時間がかかっていると感じます。

こうした背景には、意思決定者に多様性がないことも関係しているように思います。
選択的夫婦別姓の議論においては、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について「合憲」と判断された際、 15人の裁判官のうち女性は2人だけでした。
先ほどのキャリア領域の話では、会社のマネジメント層=意思決定者が似たようなバックグラウンドの一定年代以上の男性ばかりということも多いと思います。
意思決定の場に多様性がないため議論の場が生まれにくく、新しい価値観への対応が遅れてしまうのではないでしょうか。

個人も社会も、多様な価値観への対応が遅れることは大きな課題だと感じます。

では、どうしたらよいのでしょうか?

意思決定には偏りがある

そもそも、意思決定は「誰がするか」によって偏りが出るものだと思っています。
だから、多様性が必要です。意思決定者の顔ぶれに多様性を持たせるのが理想ですが、それが叶わない時は「自分たちに偏りがあるのでは?」「多様な視点で意思決定できている?」と常に意識することが大事だと思います。

私も、事業や組織作りにおいて多様性を意識するように努力しています。
例えば、運営するキャリア相談サービスのミートキャリアの利用者は、実際は女性7割程度と多いのですが、対象者を「女性」と限定することはしていません。
様々なライフステージでキャリアに悩む人は女性だけではないですし、キャリア相談こそ個人一人ひとりの事情に合ったキャリアの支援をしていきたいと考えているため、キャリアサポーターも性別を問わず20~50代の幅広い経験の方を採用しています。
また、運営メンバーは正社員や業務委託など働き方がバラバラで、住む地域もバックグラウンドもバラバラ。育児や介護と両立する人、副業を持つ人もいます。そのため、各人の働ける時間を考慮しながら、コミュニケーションで情報格差を生まないようにしています。

多様な価値観を受け入れることは、時間もかかり、煩雑に思えるかもしれません。ですが、多様な価値観のもとで意思決定をすれば、時代の変化にも柔軟に対応できる「変化に強い」人や組織が生まれるのではないでしょうか。

だから、私たちが今日からでも出来る大事なことは、日々の意思決定でも「自分の価値観だけで決めようとしてないかな?」「偏りがないかな?」と意識することだと思います。


話が長くなってしまいましたが、前述の選択的夫婦別姓についても、多様な価値観があります。
同姓を希望する人、別姓を希望する人・・それぞれが個人に合った選択ができるよう、多様な選択肢があっていいと感じています。



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