私の介護は終わらないおままごと
ファミリーマートのお弁当に入っていた祖母のかじりかけのいなり寿司と、一口残ったコロッケと紅茶。
それが私の昨日の晩ご飯だった。
孫の世話を焼きたいけど、料理をする気力はない、でもご飯を食べさせなきゃ、と
ブランドのお皿に食べ残しを盛り付けて
食べてと勧めてくる。
どんなに上手に遠慮したとしても
祖母は(孫ちゃんが断るってことは私は変になっているんだわ)と解釈してしまう。
全然お腹は空いていないけど私は、それらを残さずに食べる。
祖母は、誰かをお世話できている安心感に満たされた表情を浮かべる。
ホームに入ったら、職員さんは彼女におままごとを上手くさせてくれるだろうか。
人数分の食事の計算もできない、クレジットカードを道に落としてしまう、クレンザーで皿を洗う、観葉植物の鉢の下に水を入れた皿を置く、失敗した下着を廊下の真ん中に放置する。
そんな祖母でも、デイケアでの社交ダンスが週一の楽しみで、ダンスの稽古着を新調したいから店まで連れてって欲しいと言い
存在しない幻覚の子供の食事や布団の心配をする。
月末は祖父の一周忌で、忌明けの挨拶の相談をしてくる。
認知症でも彼女はまだ生きる気力がある。
それは、私達家族の献身的なケアのおかげであると、胸を張って言える。
祖母の入るホームが、彼女の生きる力を尊重してくださる場所でありますように。
ホームを訪ねた私を、覚えていてくれますように。