若者ケアラーのアラサー孫

ババコン孫の介護奮闘記。老人性うつ・レビー小体認知症疑いの祖母と、福祉職とイラストレー…

若者ケアラーのアラサー孫

ババコン孫の介護奮闘記。老人性うつ・レビー小体認知症疑いの祖母と、福祉職とイラストレーターの兼業の私の同居生活が終わり、祖母は老人ホームへ。若者ケアラーの取材受け付けます。

最近の記事

30歳で老人臭がした私

祖母が老人ホームに行った今だから言える。 祖母と同居していた去年の私には、確実に老人臭がした。 子供の頃は大好きだったおじいちゃんおばあちゃんの家の匂い。それが建物の匂いではなく、老夫婦の生活臭だと理解したのは大人になってから。祖父が亡くなり一人になった祖母と一緒に住み始めると、その臭いは私の 服や小物やカバンやリュックの中身と外に浸透する。 私の体の髪や皮膚にも、まんべんなくこびりつく。 それはボディーソープや汗拭きシートや香水でどうにかなる類の物ではなく、むしろ

    • 祖母が老人ホームへ行ってから負担が増えた母、減った私

      お久しぶりのnote 世間がコロナで騒ぎだした頃、私の仕事はその影響をモロに受け労基法丸無視の超過勤務の毎日に移行した。 朝早くに起きて夜遅くに帰り、飯風呂寝るからの朝を繰り返す日々。不幸中の幸いなのは、祖母をコロナ騒動の前に老人ホームに預けることができたこと。 もし預けていなかったら、祖母の鬱症状と認知症状は加速して、コロナより仕事の過労より先に私が介護疲れであの世行きだったと思う。 冗談みたいだが私は去年末、本当に祖母との生活に疲れていた。 私の日中の仕事は保育

      • 祖母の幻視を軽んじていた周囲

        私の祖母(86歳)は、毎朝きっちり化粧をする。週に二回は洗濯をする。運動好きだったので、背筋が伸びていてしっかり歩く。美容室で週に一回はヘアセットを行い、お洒落がとても上手い。 耳が良く、気の利いた返答も得意。 美意識が高く賢い。 そんなところが母と私にとっては密かに自慢だったのだが そのことが私達とお医者様にとっては、彼女の認知症の進行を見誤らせた原因となる。 「そこにいる女の子達は、孫ちゃんが連れてきたの?もう遅いから、帰るように言って?」 と、祖母が、見えない子

        • 私の介護は終わらないおままごと

          ファミリーマートのお弁当に入っていた祖母のかじりかけのいなり寿司と、一口残ったコロッケと紅茶。 それが私の昨日の晩ご飯だった。 孫の世話を焼きたいけど、料理をする気力はない、でもご飯を食べさせなきゃ、と ブランドのお皿に食べ残しを盛り付けて 食べてと勧めてくる。 どんなに上手に遠慮したとしても 祖母は(孫ちゃんが断るってことは私は変になっているんだわ)と解釈してしまう。 全然お腹は空いていないけど私は、それらを残さずに食べる。 祖母は、誰かをお世話できている安心感

        30歳で老人臭がした私

          もしもし、いつも優しい私の孫?

          新婚旅行に行けてない私と夫のために、母がお膳立てをして近場の温泉に一泊旅行に行かせてくれた。 その日は留学から一時帰国している弟が祖母宅に泊まってくれた。 旅行に出かける朝、私は分包をして弟に置き手紙を書き、祖母とドリップコーヒーを分けて飲んだ。 同居を始めた頃は祖母もまだ認知症状が軽くて、私もちょくちょく外泊できていたが 最近は全くしていなかったので久しぶりに一晩以上離れることになる。 「電話するからね」 「ありがとう、お土産は名産品でお願いね」 「わかった」

          もしもし、いつも優しい私の孫?

          一瞬の娯楽と果てしない日常

          最近は寒くなってきたからあまり外出はしないものの 母が私の仕事中に日中祖母を訪ねてきて一緒にランチをしたり 弟が留学から一時帰国しているので、祖母の電話の相手をしている。 私は、あいもかわらず祖母宅に寝泊まりしながら買い物や病院の付き添いをしている。 先日、祖母と母とイルミネーションを見に車を飛ばした。祖母は、非日常な色とりどりのライティングにご満悦そうだった。 しかし、外出で楽しそうな祖母を見ても (まあ明日にはいつも通りか、いつも以上にメンタル下がるんだろうな

          一瞬の娯楽と果てしない日常

          ミートパスタとコロッケ天津ラーメン

          それが今日の私の朝ごはん。 祖母は、毎朝毎晩三人分の朝ごはんを用意する。 祖母と私と、亡き息子のひとしちゃん(仮)の分。 ある夜、テーブルの上に置かれたお弁当を私が食べようとすると 「それ、ひとしちゃんの分半分残しておいてあげて」 と言う。 残された半分のお弁当は、次の日の私の朝ごはんになっている。昨晩私に、残しといてと言ったことは覚えてない。 そして、今日、朝方から様子がおかしいなとは思っていたが、何個もレトルトの封が切られており それらが丼の上に順番に重ね

          ミートパスタとコロッケ天津ラーメン

          祖母のいらだちと孫の困惑

          「ひとしちゃんは今日は何時に帰ってくるの?」 ひとしちゃん(仮名)は祖母の息子。私が生まれる前に交通事故で亡くなった。 「さあ、叔父さんからは何も聞いてないけどなあ」 のらりくらりと答える私。 「ひとしちゃん、朝は何時に出て行ったの?」 「私が朝起きた時はもういなかったよ」 嘘はついていない。ただ祖母からしたら、しらじらしく聞こえたらしい。 「ひとみちゃん(母・仮名)も孫ちゃんも、あいまいにして!そんな扱いされても、私も大人なのよ!正解を言ってくれないと気持ち悪

          祖母のいらだちと孫の困惑

          祖母の思い出の場所へ行こうツアー

          有馬温泉 天の橋立 宝塚のカフェ 御堂筋のイルミネーション 梅田の映画館 86年も生きていたら、祖母は家族や旦那や友達と、いろんな場所へ行っている。 家にひきこもると病んでしまうため、祖母との会話の中で出てくる思い出の場所へ車を走らせる。 車の中や現地のカフェで、そこにまつわる思い出話を聞く。 「お兄ちゃんがまだ学生だった頃にここにきてね…」 「旅行に来るとつよしは必ず熱を出す子でね…」 「お友達ののりちゃんが、あそこの橋で落ちそうになってね、元からそそっ

          祖母の思い出の場所へ行こうツアー

          地域に介護されるということ

          若輩者が、自分の祖母だけを見て思うこと。 今朝、美容室に行くという祖母に付き添ってバス停に向かう途中の横断歩道で信号待ちをしていた時、初老の男性が「〇〇さん!(祖母の名字)」と大きな声をかけてきて 「お元気そうで顔色も良いですね!お孫さんと外出されて、それが一番です!!」 とまくしたててきた。 「誰?今の人」 「かかりつけのお医者さんよ」 ほう。この街のお医者さんは、患者を見かけると走って駆け寄って来てくださるのか。 「じゃあ、美容室行ってくるけど帰りは美容師さ

          地域に介護されるということ

          籠の鳥のお姫様の顛末

          今日も仕事中に電話がかかってきた。 「孫ちゃん、玄関に誰かいるの!何も言わないし動かないしどこにも行かないから怖いの!今すぐかけつけてくれない?」 「ごめん、私今仕事中だから母にかけてくれる?」 「そんな薄情なこと言わないで…」 「なるべく早く帰るからね」 「孫ちゃんが来てくれないなら警察呼ぶわ!呼んでも良いわよね?」 「…うん、来てもらいな」 結局、警察に来てもらったところ、インターホンに写っていたのは傘立ての影だった。それを人影だと思いこんだらしい。 「私

          籠の鳥のお姫様の顛末

          何回でも同じ言葉を返すよ

          「今日何日だっけ?」 「2日だよ」 「今日何曜日なの?」 「月曜日だよ」 「孫ちゃんの今日の予定は?」 「午後の仕事は8時に終わるよ」 「そう、そして今日は何日なの?」 エンドレスループ。 顔を突き合わせている時はまだいいが、職場に電話で何時に終わるのか聞いてくる時は困る。 出るけど。 出ないと、母や父や旦那に「孫ちゃんが電話に出ないの!何かあったんじゃないかしら!どうしましょう…」と電話が行くからだ。 一回、iPhoneの電源が寒さで落ちた時に大騒ぎに

          何回でも同じ言葉を返すよ

          祖母への嫉妬を感じた時は

          SNSを縦スクロールしていると 同級生が続々と結婚・出産している。 NHKの幼児番組のキャラクターについて熱弁、抱っこ紐はエルゴ一択、先輩からの出産祝いがセンス良い♡、念願のマイホームはキッチンだけはこだわった!etc 別世界のようで。 働いている子達は、そろそろ中堅。主任になりましたーとか、転職先も慣れましたーとか、転勤嫌だーとか、十人十色。 テレビを通しても、子役は大人になって、よく見ていた芸人は見なくなって、アイドルの顔はみんな同じに見えてきて それでも、認

          祖母への嫉妬を感じた時は

          もし介護を選ばなかったら

          って頭の中に浮かんだ時、毎回振り払ってたけれど 振り払っているということは、モヤモヤしているということなので お得意の言語化してみることにした。 もし私が祖母との生活を選んでいなかったら 夫と共働きで賃貸で二人暮らし。旦那は仕事が不規則な為、ご飯の用意はお互いセルフ。 仕事後にスーパーで安い鳥のササミやら白菜やらもやしをタジン鍋で茹でてポン酢かマヨネーズと七味で和えるのが定番の夕食。 好きな時にコンビニに行って 友達からの飲みの誘いも絶対に断らない。 夫と休みが

          もし介護を選ばなかったら

          お母さん、思い詰めないで

          昨夜祖母とテレビのニュースを見ていたら 「介護疲れか?82歳母を首を絞めて殺害、娘を逮捕」 という見出しが目に飛び込んできた。 ニュースは詳しくは取り上げていなかったので新聞を読むと、50代の娘さんはお母さんを別居介護しており、二人の子供は社会人なりたてで家を出ていたとのことだった。 (旦那や兄弟いなかったのかな…) (お母さん介護認定いくつだったんだろう、施設を拒否したんかな…) (子供は、お母さんのことを気にかけてあげる余裕あったのかな…) いろいろ、頭の中に浮

          お母さん、思い詰めないで

          祖母にしかできないこと

          できることが日々減っていって、うちひしがれている祖母。郵便物の仕分け・整理整頓・力仕事・PCの操作・麻雀・不在配達の電話・コープの注文etc. でも祖母にできて私にできないことは、まだまだたくさんある。 同居し始めて、頼りきっていることが 洗濯とアイロンがけと皿洗い そう、私は家事がダメダメなのだ。 祖母は日中、デイがない日は暇すぎて夕方に病み出すので、なにかしらお願いしておく。 お願いした日は、夕方の鬼電が1回だけになる。 頼られているという自信は、いくつにな

          祖母にしかできないこと