SS　夕暮れ

休日の過ごし方は様々あるが、今日は掃除をして過ごした。
片づけやらなんやら気が付くたびに手を広げて、掃除は一日掛かり。ホコリまみれの汗まみれになってしまった。
夕食の前に風呂に入る事にした。
熱めの湯船に沈めば、疲れがとけ出す。
正直に言えば休息したかった今日だけれど、家中をピカピカにしてやったぞという達成感と満足感でいっぱいだから、良しとしよう。

風呂場の窓の向こうは夕焼けだ。
青みを帯びた濃い赤、橙色の所もあって混ざり合った空。夕焼けの次の日は晴れるのだったか、雨なのだったか。
こんな時間に風呂に入ることなんて滅多に無い。
なんだかとても、贅沢な事をしてい気分だ。
窓を少し開けて風をとおす、気持ちの良いそよ風とともに美味しそうな匂いがしてきた。
台所で母が夕食の準備をしているからだ。
換気扇を通り抜けて、料理の湯気が漂ってくる。
夕食はなんだろう？
醤油の匂い。油と肉か野菜と、ニンニクだろうか、ああ腹が空く。

身体を伸ばして、湯船の中で力を抜いた。
鼻から深呼吸すると、グゥと腹が鳴った。
夕食が出来たと声がかかるまで、漂っていよう。
ああ、贅沢な時間だ。

ショートショートもいい所です。SSSS位です。

若宮の家は台所とお風呂が近い位置に有り、台所の換気扇からの匂いがお風呂の窓から入ってきます。
いつもの事なんですけれど、なんだかそれが好きで、面白いなあと思うのです。