引っ越し完了と喧嘩。

広すぎてどうしようもない家に引っ越して、数日が経った。引っ越しまくりの私達だったが、今までの引っ越しとはやはり違った。

前回まで住んでいた家というか部屋で、家電家具の配置を考える、という作業をほとんどして来なかった。場所を選べるほど部屋が広いわけでもなく、コンセントの位置も数も限られていたから、必然的に家電の位置が決まり、そのことで大きい家具の位置も決まり、残りは入る位置に細々と、を繰り返していた。

今回は謎のコンセントの多さ(何でここに?みたいな位置にもついてる)により、家電の位置探しに苦慮するというスタート段階で頭を使うことになったため、いつもより疲れた。というか1週間以上経ってもまだ配置替えが終わっていない。

家が古いため買い揃えるものも今までと段違いの量になっており、徐々に「これはDIY沼の入口なのでは?」と思いながら柄だの色だの旦那さんとあーだこーだ言って決めている。

とはいえ、部屋をどうこうしたい欲が概ね満たされる過去があったので、正解がない選択の連続は結構しんどい。旦那さんのほうが楽しそうに選んでいる。

今の配置は、配線丸見えでブサイクな景観になっているところがあるが、生活の支障にならないと思っているので、私は「そのままでもいいんじゃないの」と言っていたけど、旦那さんが有孔ボードやカーテンなど、何で隠すか日々思案している。楽しそうだねほんとに。

旦那さんは基本的に屋根と壁があれば家として成立していると思ってるフシがある(十分住めると思っている)上で、生活の向上を目指しているため、結婚したからこその向上心という感じ。私のために快適環境を作ってくれてありがたいなと旦那さんを眺めて思う。


しかし新しく買ったコタツ机に合わせる椅子を、買うか買わないかでモメた。二人とも気に入った椅子が結構なお値段だった。私は「椅子って少なくとも10年は座るだろうし、下手に妥協した椅子とか座る度に、妥協した椅子、って思っちゃってイヤでしょ」と思って、買うテンションでいたけど、旦那さんは「いや高い、待って、ちょっと考えさせて」と思っていたみたいで、お互いそれがあんまり態度に出ておらず、後に「買わないの?」「えっ、買うって決めるの早くない?」というところから口論になった。

冷戦を挟みつつ、最終的に旦那さんが「やっぱり買う」と言い出したので「今買ったらモメた空気をこの椅子に紐付けてしまうことになるから買いたくない」と言って保留にした。旦那さんの「買う」は、私の態度を見たからしぶしぶ意見を翻したように見えた。「私のせいで買わされる椅子」とか恩着せがましいこと思われたくないし、旦那さんも値段にためらっているし、そんな風に買われる椅子さえ可哀想だし、誰も幸せになっていない。私が欲しいだの欲しくないだの面倒くさい女だといえばそうなんだけど、二人とも納得して、気持ちよくお金が払えない段階で、長く付き合うものを買いたくない。


金銭感覚が旦那さんと違うことは前にも書いたけど、話をしてみると、旦那さんの中には衝動買いというものが人生であまり多くなかったらしい。

脳内に「必要警察」が住んでおり、「これは〇〇のために必要」と思ったら高くてもスッと買うのだけど、「欲しいから」以外の決め手が特にないときに、この「必要警察」が発動する。「いつ必要なの?今絶対いるの?この値段を支払うほどの価値なの?心からほしいと思っているの?本当に?本当の本当に必要なものなの?後悔しない?何で要るの?本当に要るの?」と総質問をかけてきて、しかもそれが1日では終わらず、熟考に熟考を重ねての「…買います!」になるらしい。

対して私は何かを買うときにあんまり迷わない。迷わないから衝動買いだったものもあると思うけど、それが後に不要になったとして、売るか捨てるかすぐするから、あんまり気にならない。買うものに対して「もったいない」という感性が死んでいるような気がする。1日以上迷うこともほぼなかったと思う。

今買うのも悩んで買うのも結論同じなら今買う方を取る私だけど、旦那さんは悩んだあとに「買わない」という選択も十分取りうると思っているので(悩んでいるからそりゃそうなんだけど)、今回もそこがかち合った。

私はむしろ買わない理由もなくないか?と思っていたけど、旦那さんは「椅子は要るので買うけど、高額だと思う部分にまで支払う必要ある?高くない?高いよね?今後の他の買い物に差し障るかもだし…!予算超えるし…!必要なのかなぁこれ???」という家計を握りし者の必要警察による葛藤があったらしい。

話してみて、普通に考えて家庭人として感性がマトモなのは旦那さんだなと思ったけど、やっぱり妥協したものは買いたくない、という結論になり、買えるようにお金貯めて、改めて出直しましょう、となった。取り急ぎ義実家から椅子を譲っていただき、この件は一旦幕。


金銭感覚のズレが離婚の原因とか見るけど、今回のことでちょっと実感した。旦那さんとは、相手の言葉を否定しないように話し合いを進める、暗黙のルールっぽいもののお陰で、何とかそのズレを言語化して共有できたけど、お互いが理由も話さず、又は話せず、「買う」「買わない」だけの論争になったらお互い妥協できる線が見つからなくなる。ズレがでかいと思うものほど、しつこすぎるほど丁寧に話さないと難しいなぁと思った。

あんまり旦那さんと喧嘩しないので勉強になった。私もたまにはしつこいほどの「必要警察」に追われる必要があるのかもしれない。

不憫な旦那さんに全額寄付します。