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自分を知るのにかかる時間

子供の頃、歯医者は、歯が痛くなったりしてから行く所だと思っていた。そして処理された銀歯は一生もんだと思っていた。

今は分かる。そうではない、ってことを。

ハチマルニイマル運動をご存知だろうか。

この運動のことをを子育て真っ盛り中、歯医者のポスターで知った時、私には意味が分からなかった。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」????歯がなんで減っていくのか私には理解ができなかったのだ。が、そのポスターを目にしたその日の定期健診で言われたのだ。

「一本歯がダメになっていますね。これはもう抜くしかないですね。」

こういうことだったのか。。。その歯は治療済みで、私が一生もの、と思い込んでいた銀歯だった。神経が抜かれていたので痛くも痒くもなかったのだが、変なところに食べかすが詰まるな~とは思っていた。

もう抜くしかない。ということは、通常28本~32本あるはずの歯が1本永久に欠けるということだ。

不便だけど別に一本欠けてもやっていける。その場ではそう思っていたがこれもそういうことではない。歯というのは全部が並んでお互い支え合っているようなところがあるので、隙間ができると他の歯への影響が出てしまうのだ。なので一本の欠損を放置すると多分共倒れとなりハチマルニイマルが加速度的に現実になってくるのだ。

 この話とは別に私の向かって左側の犬歯の歯茎は他の歯より下がっている。20代の頃に突然膿んで治療の際にぐぐんと下がってしまったのだ。その時は自分の雑な手入れを呪ったもんだった。が20年くらいしてまた同じ個所が膿んだのだった。何故同じ個所だけがこういうことになるのか理解できなかったのだが、その時の歯医者さんは言いました。

「この歯が特に大きくてかみ合わせで歯茎に負担がかかっているんだろうね」

なんだそれは。自分の歯が自分自身にこんな余計は負担をかけるとは。自分の雑さによる症状ではないことが分かり罪悪感は減ったものの、なんだか複雑な気持ちになった。

何十年もかけて自分の歯の特徴やオーラルケアの大切さをようやく認識し、歯磨きは今や私の中で儀式に近くなっている。歯ブラシを初め、複数種の道具を使い分け10分近い歯磨きタイムを過ごしている。
以前は頑張っているつもりなのに、定期健診に行く度、ここが磨けていない、あそこが虫歯等々言われて「どうしろっていうんだ!!」くらいの気持ちだったが、最近は「磨けてますね~」の言葉に「当然だろ」に近い感情が沸くのだ。

自分のことなのに歯だけでここまでの理解を得るのに何十年も時間がかかったということは多分、人生をかけても自分自身のことを十分に理解するのは難しいんだろうな~と思う今日この頃だ。

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