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人間による地球破壊が止まらない今、読んで欲しい。~人新生の「資本論」~

若き、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが2019年の国連気候行動サミットで声を震わせながら行った5分程の印象的なスピーチを覚えているだろうか?

地球環境の破壊だろうが、発展途上国へのしわ寄せだろうか、将来若者達が苦しもうが関係ない、邪魔者はなぎ倒す、ブルドーザー的に成長経済活動に邁進する大人達に"we'll be watching you"と呪いをかけるかの如くのスピーチだった。

グレタさんの活動に対しては賛否両論あるものの、なんとなく地球の状態がよろしくないのは皆、うすうす感じているのではなかろうか。

その彼女のスピーチの中に”Fairytails of eternal economic growth”という表現があった。すなわち”永遠の経済発展というお伽噺”。私にはこの言葉がやたらひっかかった。

資本主義ってそういうことなんじゃね?これでみんな生活しているんじゃね?と。

彼女の言わんとしていたことや、地球温暖化の問題は今の再生可能エネルギー技術だけで救えるわけではないけど、そのうちいい技術が出てきて。。。とか、SDGsは雰囲気ものだとは思うけど、まーこれを掲げて世界的にいい方向に向かっているんじゃ?や、地域や国家間の格差は人口の変動や環境の変化で今後大どんでん返しがあるかも。。。などと今現在存在する様々な問題に対し、決定的な解決策は思いつかないけど、違和感だけは抱えている、例えば私みたいな人に、腑に落ちる説明をくれるのがこの斎藤幸平作、人新生の「資本論」なのだ。


すでに30万部を超えの本なので、今更感も否定できないとは思いつつ。。。

裏表紙より:人類の経済活動が地球を破壊する「人新生」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。

著者は”価値増殖と資本蓄積のために、さらなる市場を絶えず開拓しているシステムである資本主義”を手放さないことには地球の破壊は止められないと言っているのだ。

ど、どうやって?と思ったら読んで下さい。斎藤幸平作、人新生の「資本論」。

とか言いながら、斎藤幸平作、人新生の「資本論」、を私が読んだのは実はたまたまだ。「小説家になって億を稼ごう」というタイトルの本だけ買うのをちょっとだけ躊躇し(実際は充実の内容の本です!!)レジでその上に重ねるためにつかんだのが、色々な本屋で平積みになっていて(2021年新書大賞を受賞しているから当然っちゃ当然。)視界には入っていた斎藤幸平作、人新生の「資本論」だったのだ。

マルクスも大して知らない私にしてはかった~い本を買ったつもりだった。。。

”人権、気候、ジェンダーそして資本主義。すべての問題はつながっているのだ。”と著者が語っている通り、ニュースをにぎわすような世の中の問題がほぼカバーされている。論文的でありながら、文体は平易で、小難しくないけど、常に力説している感じで、これ程うなずきながら読んだ本はないと断言する。勢いで押さないとなかなか通る話ではない内容だったからだろう、と勝手に推測していたが、巻末の”おわりに”で「マルクスで脱成長なんて正気かー。そういう批判の矢が四方八方から飛んでくることを覚悟のうえで、本書の執筆は始まった。」とある。

問題解決には”困難な「闘い」になるのは間違いない。”と著者は言っているが、状況は本当にそこまで差し迫っていて、耳障りのいい方法ではすでに無理だというのを実感させられる。

希望は「3.5%」だそうだ。”ハーヴァード大学”のある政治学者の研究によると”3.5%の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わる”とのこと。

世の富を占有する1%の超富裕層はすでに宇宙に目をつけている。斎藤幸平作、人新生の「資本論」を読んだ皆さんで「3.5%」を達成できないものか、いや、目指せるといいなと密かに思っている。

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