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雑感:体質改善?

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。

 11月29日は語呂合わせで「いい肉の日」だそうです。脂肪が燃焼されにくいタイプの内臓脂肪は、筋肉の中に脂肪が入っている形で霜降り肉のような断面図だと聞いたことがあります。高級ブランドの霜降り肉なら美味しそうですが、人間の霜降り肉はなんとかして脂肪を取り除きたいものですね(笑)。

 という小話はこの辺にして、今回は先般フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジテレビ)が発表したフジテレビ希望退職者募集をネタにして書いてみたいと思います。

1.概要

 SmartFLASH配信の記事によると、勤続10年以上、満50歳以上の社員が対象で、退職金には特別優遇加算金が支給され、希望者には再就職支援もおこなわれるとのことです。

 希望退職者を募る事それ自体はあり得ない話でもなく、東京商工リサーチによると2021年1~10月に上場企業で実施したのは72社で、そのうち1000人以上は、「日本たばこ産業」2950人、「本田技研工業」約2000人、「KNT-CTホールディングス(近鉄グループの旅行企業)」1376人、「LIXIL(トイレや建材を販売)」1200人、「パナソニック」約1000人の5社にのぼるそうです。経済等の外的要因や組織の意思決定の過程における失敗等の内的要因などが相まって業績が悪化し、現行の人員を抱えきれなくなって希望退職者を募るという判断はあると思います。

2.体質改善?

 日刊スポーツ配信の記事によると、フジテレビ金光修社長は定例記者会見にて、今回の希望退職者募集の背景を次のように述べています。

「目的としましては、うちの社員の人員構成として比較的高齢者が多くて、若年層が少ない。逆ピラミッド型になっている。50歳以上の社員のセカンドキャリアの手伝いをしようと。通常の退職金に加えて優遇する。希望者に限っている。50歳以上を支援するのに加え、少ない若年層は中途入社を募集している」

 またフジテレビは2017年にも希望退職者を募っていますが、その時のスタンスとの違いについて、金光修社長は定例記者会見で次のように述べています。

「当時と変わりはない。希望する方に喜んでもらおうと、期間を長くしたり説明を丁寧にしている。経験を生かしている」

 仮に解雇を用いて人員を整理しようと考えた時、判例では整理解雇には4つの要件が必要と言っています。(参照:『労働法トークライブ』森戸 英幸 , 小西 康之 (著) pp196~202)

・人員削減の必要性

・解雇回避努力

・人選の合理性

・手続きの相当性

 民法では627条で労働契約の解約の申入れ日から二週間を経過することによって終了することができますが、民法を補完する形で登場している労働法(判例で争点になったのは労働契約法16条)におけるこのめんどくささは、フジテレビクラスの大企業であれば恐らく組織として熟知していると考えれば、希望者に限定して募ることがリスク少なく組織の体質変化をすることができると判断したんだろうと考えます。

3.再就職支援と希望退職の狭間

 11月27日配信の東スポの記事にはフジテレビ希望退職者向け説明会の実態が報じられていて、再就職を支援するリクルートの関連会社の担当者の説明を次のような印象として捉えているようです。

「やたら口がうまく、明るい感じの人だった。6か月間で80数%は再就職できるとか、マンツーマンで付いてくれるとか、オイシイ話を30分間ペラペラ。4年前の前回募集のときはこんな支援がなかったから、〝サポートしますから今が辞め時だよ〟とニンジンをぶら下げられた感がすごいあった」

 再就職の斡旋先として具体的な企業名は出ず、医療関係の事務や衣装デザインのプロデュース、国や地方自治体関連の団体、NPO法人、大学講師などを挙げたそうで、見た目的には勝ち馬に乗っかるような構図を描いて辞める事にインセンティブがあるように匂わせている演出をしている印象があります。

 一方であくまでも希望という文脈として考えた場合、この人参に喰いつく社員はどれだけいるんだろう?という疑問&注目の視点ではあると思います。フジテレビをはじめとした比較的歴史のある企業における賃金体系・人事制度の主流は、夫一人で家族4人を食わせる事を主眼に置いた性別役割を前提とした賃金体系・人事制度となっています。(参照:『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~欧米のモノマネをしようとして全く違うものになり続けた日本の人事制度』海老原 嗣生 (著) pp165~167)

 巷では会社に居座りたくて仕方ない社員を追い出したくて仕方ないという会社側の考え方もあるそうですが、希望退職者を募る事でどのように体質改善されていくのか?というのは注目してみたいですね。


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