見出し画像

地方演劇を真面目に考える会 その10 【大都市文化圏との関わり方前編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

地元の演劇と大都会圏の演劇の影響の割合

今回からは、大都市圏との影響や、関係を見ていければと思います。まずは、劇団の大都市と地元の影響の割合です。

 半々という答えが多いですが、全体的にはやや都会に寄ってる感じです。
やはり公演数も大都市圏の方が圧倒的に多く、メディアの情報量も圧倒的です。ただ、地元の影響は直接的で濃度は濃いのかなと思います。バランスがいい方がいいのか、大都市型の演劇を志向するのか、地域に特化するのかの選択肢に大きな影響を与えるものではあるかと思います。
これも、演劇環境のいい県とよくない県で影響があるのか調べてみました。

そんなに大きく差があるわけじゃないですが、よくない県は全体的にやや都会より、よい県は全体的に広がっているという印象でしょうか。ただ、大都市圏との距離感も関係ありそうなので、日本の一番大都市である東京に距離の近い関東圏と、大都市圏でも比較的規模の小さい四国・中国地方で差が出るのか見てみました。

データの分母が少ないので参考にならないかもですが、やや関東圏の方が、都会の影響が強いという感じがします。もちろん東京圏が大きすぎるので、影響を受けないほうが不自然かなと思います。
この問題は、大都市圏との距離感や、地元の演劇文化の良し悪しなどいろんな要素がありそうなので、きちんと調べると面白い結果がでそうなのになあと思います。

大都市圏の演劇の影響の受け方

二つ目はもう少し細かく、大都市圏の影響をどう受けたかを聞いてみました。

 演劇と聞けばやはり大都市圏でやられている公演を考えると思います。その中で、自分の好きな作品や役者をみつけて、自分もこういうことをやってみたいと思うことが多いのではないでしょうか。
そもそも、同じ地域に住んでいても、かなり情報のアンテナを張っていなければ、何も知らない状況から地元の劇団の公演に行くというのはかなり難しいと思います。そもそも演劇を始めた後も、勉強や影響を受ける大多数は大都市圏の物になるので、それをうまく取り入れつつ、足元を忘れず、地元で、自分たちのための演劇を見つけるのが大切だなと思います。ただ、都会の影響はあまり受けないもかなり多いので、これは独自の演劇感を作り上げているという事なのでしょうか??

地元の演劇文化の影響の受け方

今度は逆に地元の演劇文化の影響の受け方です。大都市圏とどう違うのでしょうか?

およそ半数が、「地元の劇団の公演を観に行っていた」が多かったです。やはりそこで、実物の演劇を観るという観劇体験が強いのだなと思います。大都市圏から離れているとどうしても実際の公演に行くのに交通費等がかかって、かなりの費用になってなかなか行くことは難しい、ですが劇場などで実際に目の前で見ると、その面白さは何倍、何十、何百倍にも感じます。それがやはり地元の演劇文化に一番強い影響を与えるようです。
次いで、ワークショップなどです。公演はかなり資金も体力も時間も使うので、こうやって草の根活動で、徐々に輪を広げていくのも重要かもしれません。そもそも、演劇自体を見たことがない人が多い地域社会において、演劇とはこうなんですよと、敷居を下げる意味合いもあるでしょうし、観客も重要ですが、役者が少ない中で、そのきっかけを作る重要な要素だと思います。

大都市圏の演劇文化の影響についての個人的見解

 やはり大都市圏集中型の演劇文化は、地域社会の演劇文化に強い影響があると思います。しかし、それに影響され過ぎても難しいかなと個人的に思います。かといって、大都市圏の演劇文化はとても素晴らしい作品が山のようにあり、それをみて影響を受けて、自分の演劇に取り入れるのもとてもいいことだと思います。
まあ、つまりバランスだよねとつまらない答えですが。特に、自分的には、自分たちが「誰に見せたいのか?」を明確にすれば、そこがより明確化して、どういう風な演劇活動をすればいいのかわかりやすくなるかと思います。その結果、公演活動をしない演劇活動もあるかなと思います。

つづきます。
その11はコチラ【準備中】

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきぼう)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?