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自分は信じない。人を信じる。
この表題はスタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんの一言です。
僕はジブリアニメが大好きなのですが、近年は鈴木敏夫さんの頭の中を想像するのが特に好きになっています。
なぜか? それは日本各地の職人さんや伝統工芸士さんたちのところを巡っていた時から、「あ、僕の仕事はなんだかプロデューサーやディレクターみたいだな」と感じていたときにテレビの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられている鈴木敏夫さんの仕事っぷりにゾワッとしたものを感じたからです。
もうひとつ理由があるとすれば、岡田斗司夫さんのお話が大好きで度々宮崎駿監督、故 高畑勲監督と鈴木敏夫さんの複雑な関係について暴露してくれるのですが、特に人間味があって好きだったからです。
話を聞けば聞くにつれ、高畑勲監督と宮崎駿監督は芸術家肌の方で、良い作品を作るというモチベーションは恐ろしく高いが資金の工面とかそういうことには無頓着な面があるそうです。ですのであれだけのメガヒットをさせた裏側にはプロデューサーである鈴木敏夫さんによる必死の知恵と交渉があったわけですよ。
怒ったことやぶつかったことも多々あったでしょうが、それでも宮崎駿さんの才能を世に出すために二人三脚で文字通り「内臓をこすり合わせるように」モノづくりに付き合う鈴木さんの胆力は恐ろしいもののように感じました。
とっても参考になったんですよ。木工職人さんたちや各地の漆器の塗師さんたちもそれぞれ哲学を持って仕事をされている方たちがほとんどです。
僕や相棒の中田創さんが提案するものというのは大抵「普段の仕事ではないもの」ばかりです。実際、形にならないでいるものもあります。
「相手側のモチベーションをあげることができない」という理由でお蔵入りになりかけているものも。
そのあたり、鈴木敏夫さんは粘り強い。「俺はもうアニメやめる!」と言っては関係者をオロオロさせて、しばらく経って「やっぱりやめるのをやめる!」と宣言しては素晴らしい作品を生み出していく困った監督に寄り添い、時にぶつかり、迷惑をかけた関係各所に話をしては資金調達のために奔走する。よっぽどタフじゃなければできない仕事です。
素直に凄いよなあって毎回楽しみませていただきながら、感心してます。
「自分は信じない。人を信じる」のキモは「自分の意見をもたない。意思決定をしない」ということではありません。
「人の意見をよく聞き、いわば「共犯者」にして「祭り」に参加させ、当事者にしちゃう」意図。
「取引先は利害関係で離れるが、「仲間」は簡単に裏切らない」という体験に基づいたものではないかと思っています。
鈴木さん、相当「自分」あるもん。意思決定をしないわけがない。むしろ最終決定をバシバシしてますがな。
それに数多くのスポンサーから、「もうウチは抜けます!」という発言を度々受けてきたんだろうなあ・・。ということが手に取るように想像できます。
自分でできることってたかが知れてる。
だからこそ 「自分は信じない」
そして色んな人を巻き込んで事業を行えば、「結構色んな事が出来る」し、「自分のアイデアを発信できる」から
「人を信じる」。
「自分は信じない。人を信じる。」
名言だなあ。
埋もれてしまっている宝石がたくさんあるように思います。文化だったり、製品の場合もあるけれど一番は人間の可能性です。見つけて、発信してよりよい世界を共に生きましょう。