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中国蘇州の古典園林を楽しむ②

文・写真/田中昭三

漏窓


塀などに取り付けられ、隣の景観が漏れ見える窓を「漏窓(ろうそう)」という。日本では「透かし窓」というが、その種類は圧倒的に中国庭園のほうが多い。
窓枠は正方形、長方形、円形、多角形、扇形などがある。文様は幾何学的なものから自然界のものまで多種多様。直線の文様には寺院でよく見かける万字や菱形、氷が裂けたような氷裂紋などがある。文様の題材は鳥獣の獅子、虎、雲龍など、植物の松、竹、梅、蘭、菊など、さらには小説や仏教故事に由来するものなど、実に変化に富み、蘇州庭園の漏窓の種類は数百にもなる。
漏窓のある回廊を歩いていると隣の景が現れては消え、庭の奥行きを感じる。同時に次の景区への期待感がふくんでいく。室内に取り付けられた漏窓は、時々刻々外光に変化を与える。室内にいながら時の流れを感じることができるのだ。

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▲滄浪亭の漏窓。「喜」の字をデザイン

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▲滄浪亭の漏窓。植物をデザイン

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