見出し画像

権利は勝ち取るもの(バトル・オブ・ザ・セクシーズの感想)

本当に観たかったのは「カメラを止めるな!」
だったんですけどね。

土曜日の勉強会の帰りに
大阪の北浜から京阪電車に乗って、
出町柳まで帰ってきて(車内で爆睡)、
急いで出町座まで行きましたが、
発券機には「完売」の二文字。

わたしは出町座の会員で、
どの作品でも1000円で観られるので、
何か観て帰ろうかなあどうしようかなあ
と考えていると、
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ、おすすめですよ」
と映画館の方が声をかけてくれました。

その映画はノーマークだったので
「どんな映画ですか?」
と聞くと、ざっとあらすじを教えてくれました。

「せっかくだし」と1時間後の映画のチケットを買い、
少し時間があったので併設の「出町座のソコ」で
チーズドックを食べて読書をながら待ちました。
こういう時間、本当に至福!

さて映画の話。

大坂なおみ選手の全米オープン優勝で
今話題のテニスの話です。

1970年代、アメリカ。
ビリー・ジーン・キングは全米オープンで優勝。
女子テニス界では敵なし。
しかし、当時の女子の賞金は男子のなんと8分の1!
彼女はそれを不当だと抗議、おじさんたちは
「女子は生物学的にも劣るし、試合もおもしろくないしな」
とかいう始末。

ビリー・ジーン以下女子選手たちは、
全米テニス協会を脱退し、
女子テニス協会を立ち上げます。
自らトーナメントを作り、チケットを売り、
試合をする。そんな活動をして女子選手の地位向上を
訴え続けました。

時を同じくして、アメリカでは男女平等を求めて、
ウーマンリブ活動が活発になっていったときでした。

そんなビリー・ジーンに対し、
「女子が偉そうに権利なんか主張するな!」
というのが、同じく全米オープンのテニスチャンピオンのボビー・リッグス。
このおっさんが「女なんて55歳のオレにも勝てねーよ」
なんつって男女対決をしようとけしかけます。

というのが、本筋の流れです。

でも、この映画の何がいいかって、
本筋と並行して別のストーリーも進行してて、
そちらにも心に訴えかけるものがあるということ。

ただ、男と女。強いのはどちらか。
男女平等は尊い。
などどいう単純なメッセージではないところ。

例えば、女性の権利を主張すれば、
女性がその足を引っ張ることはよくあることで、
そういう女性をきっちり描かれています。

また、男性についても同じで、
ビリー・ジーンの夫・ラリーについても同じで、
彼は男性至上主義の片鱗もなく、
陰ひなたとなり、ビリー・ジーンを支えます。
ビリー・ジーンが彼を裏切ったと気づいてなお、
知らぬふりをして、彼女と一緒にいようとします。

だから、この映画を観ていると、
「男は、女はこうあるべき」と決めつけることの
ばかばかしさを感じます。
そうやって決めつけられることなく、
自分らしく自由に生きることこそが、
人間にとって必要なことであると。

そして、女子テニス協会の
ユニフォームを作っているゲイの男性がいるんだけど、
どこかで観たことある俳優さんだと思ってたら、
わかりました。
「チョコレート・ドーナツ」のアラン・カミングさんでした。

この映画はLGBTの要素もあります。
それもあいまって、自分らしく生きること、
そして、その権利を獲得するために
先人が戦ってくれたことが
わかりますね。

鑑賞後はさわやかな勇気が感じられる映画でした。
「よし、今日もがんばるぞ」って思いました。



サポートよろしくお願いいたします。 サポートいただけたら、大好きな映画をみて、 感想を書こうと思います。