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還暦

父が還暦を迎えた

父が30歳の時に産まれた私は
来月30歳になる


私と父は仲が良い方だと思う

小さい時から何かと2人でデートしていたし
高校生、大学生になっても
ご飯に行ったり
共通の趣味である野球について話したり
一緒に球場に行ったことも何度かある


父は優しいが口下手で
真面目な話や大事な話は
基本的には母を通じてやり取りしていたし
私が決めたことには賛成してくれるような人だったので
父と直接そんな話をすることはほとんどなかった


私には
忘れられない父からのメールが2通ある


1つ目は高校生の時だ
父は私が高校生の間、
ちょうど3年間を単身赴任していた

といっても、毎週末帰ってきては一緒に過ごしていたが
大学で上京した私は
思い返せば父親とまともに生活したのは
中学生までだったと思うと
少し寂しい気持ちにもなる

高校3年の冬
私は同じ高校に通う男の子に
ストーカー被害に遭っていた

警察に相談したりはしたが
突き放すのも怖い気持ちがあり
のらりくらりかわしていたのだが

ある時、家に押しかけてきたその男の子に
襲われかけた

母がすぐに帰宅したことで、未遂に終わったものの
襲われかけた自分の部屋で眠れなくなった私の様子に気づいた母にことを打ち明けて
父を始め家族にその出来事が知れ渡った

母は泣きながら謝り
上京が決まり、数ヶ月には引っ越す私の部屋の
カーテンや寝具を買い換えてくれた

父は相変わらず、直接私に声を掛けることは無かったが
ある時父から突然メールが届いた

毎週末に、お菓子を買って帰るだけのおじさんでごめん

と書かれていた

他に、何かあったら母を通じてなんでも言って欲しいことなどが書かれていたが
その文章が印象的で
初めて、父の弱いところというか
本音というか
そんなものが見えた気がした

娘の状況を知りながらも
母に全てを託して
単身赴任先に戻らなければならなかった父の気持ちが
親になった今、少しだけわかる


2つ目は
私が成人した時だ

これからは1人の大人として接します
お父さんが甘やかすのは
もうお母さんだけです

と書かれていた

しかし、帰省すれば私が好きなチョコが買ってあり
私のわがままをできるだけ叶えようとしてくれる父に
結局甘えてばかりでいる

今となっては、その対象は私の娘たちにまで広がり
父はまいっているようで少し嬉しそうである



私にとって父は
誰よりも私のことを甘やかしてくれるて
見守ってくれる男性だ

結婚してからは
なんとなく夫もそんな感じだが

孫を目の前にしても
私が小さい時の方が可愛かった!と断言する父を見て
親の愛の深さを思い知る


私は今まで
たくさんの迷惑をかけてきたし
心配もされてきたし
父に1番わがままを言ったのも私だと思う

60歳のお祝いをした時
娘に
じいじ大好き!と言われて
じいじも大好きだよと返す父を見て
私もこうやって育ててもらったんだろうなと思う

お父さんおめでとう

ずっとたくさんありがとう

あなたの娘で幸せです

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