ダンドリシチブ。
「段取り七分」という言葉を、
何処かで耳にしたことがないでしょうか?
私は、住宅の設計士をやめた後、
空いた時間を使って職業訓練校に一年間通いました。
左官科で勉強をして、後に職人として県内の左官工業所で
働くことになるのですが、
訓練校の恩師にこの言葉を教えていただきました。
「左官」というと何を思い浮かべるでしょうか?
壁を塗るという声が聞こえてきそうですが、
塗りの工程は最終仕上げに当たります。
最終工程の塗りだけでも、下塗り、中塗り、上塗りと
分かれているのですが、それ以外に沢山の仕事があるのです。
「段取り七分」という言葉は、実は、
左官だけじゃなく何にでも通ずる言葉なのです。
何かを作ろうと、またはしようと思った時、
客観的に見える工程は3割以下。
残りの7割以上は、その3割をこなすための
とても大事な段取りなのだという言葉です。
この段取り七分、これは残り三分よりも地味な工程なのですが
「成果を左右する要」と言っていいほど重要な部分です。
しかし、地味で長い工程に耐えられず、怠ってしまう人。
耐えられなくて辞めていく人。そして後継者がいなくなる…。
周りから評価されづらい工程の上、
仕上がってしまうと見えなくなるためモチベーションが上がらない。
私は職人としては半人前と言われる短い経験でしたが、
幸せなことに、七分の下積み経験から、三分の仕上げ工程まで、
色々な現場を経験させていただきました。
女だてらに、材料学を学び、材料を練り、荷揚げをし、
屋根や足場に登り、防水紙を貼り、ラスと言われる金網を貼り、
モルタルを塗る、シーラーを塗布し、それから仕上げ塗り。
天候次第で工程を変更し、対応する。
お前は馬鹿か!と罵られ(笑)涙と笑いの日々でした。
そんな日々、痛感したのはどれだけ段取りが大事か。
自分で段取りを怠って、こんなはずじゃ無かったと嘆いた事も。
今も、洋裁をしながら同じことを思います。
製図、そして裁断。アイロンがけ。
縫うまでの工程は果てしなく多い。
1ミリの狂いも作らずに完成させるにはどうしたらいいのか。
「段取り七分」だなと思うのです。
最後まで読んでくださってありがとう。感謝。
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