アフター・メテオライト

流星煌く冬の夜空に、一際輝く星がある。
一人の若き天文学者はいち早くそれに気づき、恐ろしい事実を発見した。その星が50年後地球に落ちるという計算結果が出たのだ。数学は必然である。彼はすぐさま学会で発表した。しかし全く無視された。彼は若すぎた。

 それから20年が経ち、隕石衝突の噂がやにわに広がり始めた。名のある預言者が隕石による滅亡を予言したのだ。メディアは連日報道した。人々はそれを楽しんだが信じる者は誰もいなかった。一人の学者を除いて。彼は隕石の衝突についての研究結果をメディアに伝えた。しかし誰もそんな事実は欲していなかった。それは報道されずに終わった。

 40年経ち、異常気象、磁場のゆがみ、発狂が問題になった。毎日のニュースでは、多くの学者が原因不明の事態に対する自己弁護の釈明を行っていた。世間は原因が工場のケミカルや戦争にあるとして、注意喚起を行った。
 50年が経った。北半球の空は常に赤く輝いていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?