不妊治療をサバティカル期間と捉えてみる
サバティカル休暇という制度をご存知ですか?
サバティカル休暇とは、元々ヨーロッパで始まった制度で、規定の在職期間を達している場合取得できる「用途を決めない長期休暇」だそうです。
従業員目線としては、家族のライフイベント(配偶者の転勤や子供の就学)に合わせて取得したり、自身のスキル向上のために大学院への進学に使ったり、仕事との両立が難しいけど今はそちらに専念したい!という事柄に利用できる画期的な制度となっています。
企業目線では、優秀な社員が一時的なイベントを理由に退職してしまい、永久に戦力を失ってしまうのを防ぐというメリットがあるようです。
サバティカル期間の考え方については、尾石晴さん著の「40歳の壁をスルッと越える人生戦略」でも詳しく取り扱われています。
不妊治療期間をサバティカル期間に?
私が何故、不妊治療をサバティカル期間と捉えてみることを提案するかというと、
不妊治療には明確な終わりがなく、ステップアップするに連れてお金も時間もとられる。割と日々のスケジュールの主導権を取られてしまうものなのに、必ず結果が伴うとは限らない。
この期間にキャリアを捨てて、肩身が狭くなり、自己肯定感が下がってしまう人が多のではないかと感じるからです。
私自身、5年以上に及ぶ終わりの見えない不妊治療期間で、「私は何者なんだろう」と悩みに悩みまくりました。
遠方への不妊治療通院に加えて、転勤族の妻というビハインドが付きまとい、仕事も「雇ってくれる職場」に「ありがたく」通う毎日。
本当はバリバリ働いて、仕事の評価も得て、稼いだお金で美味しいものを食べたり旅行を楽しんだりしたい!
でも最終的には専業主婦になり、生産性のない自分にガッカリして落ち込むことも多くなりました。
夫は一日中働いてるのに私は家でひとりぼっち。
自分では稼いでいないので、カフェに行くのも、本を買うのもためらってしまっていました。
そんな期間を前向きに捉えるためにも、サバティカル期間として捉えてみるのはどうでしょうか?
目的のない長期休暇。仕事をしている人もしていない人も、「不妊治療」だけを理由にするとその期間が苦しくなる気がします。
「不妊治療」をきっかけに、自分の人生観を見直す時間が手に入った!と考えて、自分のキャリアと向き合ったり、新しいことに挑戦したり、余暇を楽しんだりする「サバティカル期間」を手に入れたと捉えれば、かなり前向きな期間になるのではないかと思います。
この期間でキャリアの見直しをする提案
私はその期間に、本業である看護師や保健師のキャリアについて見直しました。
本当に看護師や保健師で働き続けたいのか?資格を取ったから辞められないと思っていないか?資格を活かした他の働き方はあるのか?今だから挑戦したい他の資格はあるか?
悩んだ結果、県の助成が出るオンライン講座に申し込んだり、図書館に通って心理学や哲学の勉強をしたり、キャリアについての考え方を勉強したりと、忙しく過ごしていたら目を向けないような内容にも取り組むことができました。
視野が広がったことで、かつての同僚との会話に対する印象が変わりました。
「ああ、私って職場という枠の中で必死にもがいてたんだな」と。
不妊治療は、先の見えない暗いトンネルで宝くじ級の幸運を探す旅であると捉えがちです。
でも、不妊治療をきっかけに、サバティカル期間を過ごすことが人生全体を見直して好転させることができるかもしれません。
コップに半分入った水を「もう半分しかない」と思うのか、「まだ半分ある」と思うのか。
不妊治療で仕事をセーブしキャリアを諦めた期間を、犠牲と捉えるのか、きっかけと捉えるのか。
今回はそんな提案でした。
アラサー期間はキャリア設計に大切な時期
私は現在、5年以上に渡る不妊治療を終えています。聞く方によっては「だからこそ言えるんでしょ」と思われるかもしれません。
でも、30代前半を丸々使った5年間は、私にとって本当に悩んだ期間でした。子供を産み終わって出世していく同僚、独身を貫いて人生を謳歌する友人。私だけ、時間が止まっている空虚感。
もっと早く「サバティカル期間」に気づきたかったなと思います。ぜひ、今悩んでる方は「サバティカル期間」を有効活用して、不妊治療を前向きに捉えられるきっかけにしてみてください。
読んでいただきありがとうございました。
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