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関西学院中学部&高等部の思い出

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学生時代、関西学院中学部 関西学院高等部 の思い出にまつわるエッセイです。還暦を迎える2020年、ウイルス自粛のゴールデンウィークに、記録目的で、アップしていこうと考えました。同…
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#尾川正ニ

最敬礼

最敬礼

 遮二無二なって自分の「個性」を探り、いじくりまわしていい気になっていた10代の後半。今は亡き恩師から強烈な啓示を受けました。

「久保君、個性とはね、一人一人の内面のさらに奥にある、究極の独自性を意味するんだよ。
それはね、自分自身の自己となることなんだ。均質化されたものじゃぁなく、自分自身を志向したまえ」

「人間はね、自己を表現している時、内在している力を発揮している時、最も幸福で、自分

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ホントの幸せ

ホントの幸せ

🏫 私には、後々の人生の根幹をガッシリ握りしめて、グイッと傾けて……いや、価値観の方向付けの型をつけて下さった恩師……(先方にはその自覚はない)……が、何人か居ます。
 その中のお一人。著名な文学者であった大先生。11 年前にお亡くなりになりましたが……。
 私が関学高等部1年生の時、古典の授業のあと、ホンマに世間知らずというか、怖いもの知らずというか、今思えば赤面もの、青臭く沸騰した"じゃまく

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名文

名文

 関西学院高等部の時に教えていただいた、恩師が書かれた本である。

 これが、先生の文章だ。

※※※※
 
 一日が、何人かのいのちをのみこんでゆく。

 地盤全体が、徐々に沈み込んでいる。

 歩くことが、そのまま死に向かって近づいてゆくことなのだ。 

 死への行軍と知りつつも、諦めるを知らない肉体は、前へ前とのめりゆく。 
 
※※※※

 さすがである。

 久保研二、ぐうの音も出ない。