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男尊女卑は、男性にとっても不利益な構造 ~らしさの押し付けと逸らされる矛先~

はろーこんばんわ。

日本はご周知のとおり、
男女不平等な国です。

世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2022年7月、「The Global Gender Gap Report 2022」を公表し、その中で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を発表しました。この指数は、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。2022年の日本の総合スコアは0.650、順位は146か国中116位(前回は156か国中120位)でした。前回と比べて、スコア、順位ともに、ほぼ横ばいとなっており、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。

「共同参画」2022年8月号

しかし世の中では、
弱者男性という言葉が流行っています。

なんだか不思議な話ですよね。

というわけで、

・なぜ男性優位の社会なのに、
 苦しんでいる、
 不利益を被る男性がいるのか

これについて書いていこうと思います。

結論を先に書いておくと、
性期待役割、
性別だけからこうあるべきと
思われるものが強くなってしまうからです。

そしてこうあるべきという考えは、
男性が作り上げています。


◆社会の構造、期待される像


男尊女卑、
ちょっと書いててうっとおしいので
男女不平等と言い換えましょう。

男女不平等な社会であると、
社会から受けられる恩恵が、
性別によって異なってきます。

男であれば有利で、
女であれば不利。

ただ生まれ持ったものだけで、
格差が生まれてしまうわけです。

格差が生まれるがゆえに、
性別というのは重視されます。

そうなると、
性別のもつ特徴というもの、
らしさも同じように
重視されていきます。

男らしさ、女らしさ。

そういったらしさというのを、
その性別の人たちが持つことを
ある意味では期待します。

男であればこういう行動をする。
女であればこういう行動をする。

人々は行動以外にも、
服装、言動、その他諸々を
そういったことをすると
暗に期待をしているのです。

性別が大事なので、
その性別によって期待される行動、
いわば自分にとって、
価値観の中で
望ましいことをすることを期待する。

もちろん、
期待っていうのは他の人すべてに
人は抱いているものですので、
性別だけからではありません。

けれども、
らしさを重視するので
性別からその期待される像が
かなり影響されてしまいます。

歪まされる、
といっても良いでしょう。

男性は男性らしく。
女性は女性らしく。

本人のパーソナリティなんて無視して、
それだけで
どう振舞うかを期待してしまいます。

では、
男性女性の性別による、
その性らしさの振舞う像。

これが男性優位の社会では、
どういうふうになるでしょうか。

社会では偉い人の考えが、
個々人にとても影響を与えます。

権威性に人は弱く、
また上に行くには
偉い人に
付和雷同しなければなりませんから。

男性優位の社会では、
その偉い人っていうのは
当然のように男性が占めています。

そういうわけなので、
性別に対して期待するもの。

らしさというのも、
男性目線からのものに影響をされてしまいます。

女性がどうふるまうのがよいのか、
男性がどうふるまうのがよいのか。

これがどちらも、
男性にとって都合のいいもの。

更に言うなら、
偉い男性、
社会で上の立場にいる男性にとって
都合がいい
もの。

そういったふうになりますよね。

・男女不平等の社会は、
 人の振る舞いや行動は
 上の立場の男性にとって
 都合がいいことがよいとされる

逆に言えば、

・女性や下の立場の男性には
 あまり都合が良くはない


◆期待から外れた/外された人


ある程度、
男性にとっても不利益な理由が
見えてきましたね。

もう少し掘り下げていきましょう。

性別によって、
期待されるものがある。

それは男女不平等であれば、
男性、
それも上の立場の人たちが
よいとすることが期待される。

では、
期待されることから外れると
どうなるでしょうか。

みんなが共通して、
期待することをしない。

そうなると、
みんなの輪から外されてしまいますよね。

社会からキックされるような形になる。

みなさん恐らく、
能力が低い人や
犯罪をする人には厳しいでしょう。

期待から外れた人というのは、
それとまったくもって同じです。

ルールを破る、
暗黙の了解を破る。

暗に期待していることをしないのは、
それと同じように人を怒らせるのです。

では、
各々の性別に対して
期待するものとはなんでしょうか。

人気のある男性、
人気のある女性を思い浮かべてみましょう。

それが、
各々の性別に対して
人が期待するものです。

その期待される、
男性らしさ、
女性らしさというのを
彼らは持っています。

もしくは、
彼らがそれを手にすることで
らしさのアップデートをしているかもしれません。

そのらしさに沿わない人は、
上に書いたように
良い扱いはされません。

Twitterとかにいる、
弱者男性とか言っている人を
少し見てみたらわかるのですが
人気がある男性からは
かなり遠いように思えてしまいますよね。

だから、
彼らは冷遇されてしまいます。

男性からも、
女性からも。

性別が男性であるというだけで、
彼らもまたらしさ、
性別から期待される像を満たせずに
良い扱いをされません。

だからこそ、
もし女性であったら、
そういう扱いはされないと
思っているかもしれませんし、

そのせいから、
女性は厚遇をされていると
思っているのかもしれません。

自分は押し付けられているのに、
そうでなくともよい女性が
羨ましくみえるのは
なんだか共感できますよね。

けれども、
彼らだけに問題があるとは言えません。

人気がある人というのは、
他の人よりも圧倒的に
多数の人から好意を持たれます。

独占してしまうような
形になるわけですね。

人気がある人は好意を持たれて、
色んな人から必要とされます。

そうではないひとは、
誰からも必要とされません。

好意を持たれないので、
助けてももらえない。

むしろ、
蔑まれボコボコにされる方が
確率が高いでしょう。

社会から悪いとされる人は
特別な事情がない限り
ボコボコにして良いとされていますから。

努力が足りないとか、
頑張りが足りないと言って。

そうして誰かの有能感、
気持ちよくなる糧にされ続ける。

そして悲しいことに、
本当に彼らを
そのような立場に追い込んでいるのは
男性の方なのですが。

その怒りの矛先を、
女性に向けさせられている。

物語であれば打倒されますが、
現実はそんなことはありません。

勝っているひとが一生勝ち続ける。
それが現実ですから。

資源の差異というのは
覆すにはあまりにも大変です。

というわけで、
男女不平等の社会、
男尊女卑というのは
女性にとって男性から、
男性が都合がいい考えや
価値観を押し付けられる迷惑なものですが。

男性にとってもまた、
不利益な構造であると言えます。

期待される像を、
互いの性別に押し付けられ、
そのように振舞うことを強いられるのですから。

それではまた。