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なんだ、家で作れるのか

「家で作れるなんて、知らなかった!もっと早く教えてよ!」と批判混じりで私に向かってくる7歳長男。

地理や鉄道のことなんかの事には大人の私よりもうんと物知りな息子だが、彼は知らなかったのだ。ココアが自宅で飲めることを。ファミレスやカラオケなどドリンクバーがあるような場所では「ココアある?」といつもココアチェックを欠かさない無類のココア好きの彼、席とマシンの間を何度もココアシャトルするのが恒例である。

ココアが自宅で作れることをどこで知ったのかは定かではないが、早速「ママ次買い物行くとき、ココア買ってきて」とリクエストをもらう。「今すぐ買ってきて」ではなく次回の買い物予定に合わせてくれる優しい子だ。

その日の夜、会社帰りの夫がたまたま帰りに駅前のスーパーに寄るというので「お宅の息子さんがココアを熱望しています」とLINEを入れる。そして、翌朝

長男はついに自宅で作れるタイプのココアと初対面を果たしたのである。ただのミルクココア数百円分で狂気乱舞できるなんて素敵だなと目を細めて喜んでいる息子を眺めた幸せな朝。 は突然終わりを迎えるのである。

「牛乳がない」

私が毎朝摂取するソイプロテインを作る際に残りの牛乳をすべて使ってしまったのである。母プロテインソーリーをかまし、学校行っている間に牛乳買ってくること、帰宅したら一緒にココアを飲む約束をして、学校へ送り出す。「なんで牛乳買ってないの」などと決して文句を言わない今日も素敵な優男。日中仕事の合間に牛乳を購入しておき、ついに学校から帰ってきた長男。

帰宅するなり「ただいまー」ではなく「ココアターーーーイム」と叫びながらランドセルを放り投げた。彼は台所まで一直線で向かい、ミルクココアのパッケージの裏の作り方を音読しながら、お湯が沸くのを踊りながら待つ。そして、ついに、ようやく、ファイナリー、彼の人生初自宅ココアが完成したのである。

「家でココアが飲めるなんて最高だよ~」とカップを片手に満面の笑みを浮かべる長男に今度こそ私も心ゆくまでホッコリさせてもらいました。


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