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ジュースクレンジングの大嘘

僕はサウナが好きだ。それは趣味だし、頭をすっきりさせるためにやっている。しかしながら、汗をかいてデトックスというのは全くの嘘で、汗をかいてもダイエットにもならないし、あまり効果がないということは分かっている。

世の中にはデトックスという言葉が流行っている。大抵の場合、ダイエットと紐ついたマーケティングで、大体の人が騙されている。そのうちの一つがジュースクレンジングだ。もちろん冒頭の僕のようにサウナがただ単純に好きというのと同じように、コールドプレスジュースがただ単純に好きという人は正しい。別になんの文句もなく、飲み続けて欲しいのだ。今日、僕が伝えたいのは、コールドプレスジュースを飲むことがデトックスにならないのと、ジュースクレンジングという表現が付いていることも全くおかしいということのサイエンスエビデンスに基づいた説明だ。

僕のとある友人に話したところ、でもジュースクレンジングは体重減につながるし効果があるとのコメントがあった。まずデトックスから話すが、基本的に断食してからコールドプレスだけを飲み始めても、身体の毒素が外に出る的なキレーション的なものはサイエンス的には一切ない。数日間で1万円程度使った後に、冒頭のサウナと同じくなんとなくスッキリしてそしてなおかつ体重減という効果が。これが大体のジュースクレンジングの体験者談なのだが、栄養学を理解した上でこの現象を説明すると、体内では全く異なる現象が起きていることが理解できる。以下、断食してコールドプレスジュースなどを飲み続けることを「ジュースクレンジング」と呼ぶ。

ジュースクレンジングを終えて減った体重というのは脂肪が燃えて無くなったと考える人が多いが、これは脂肪ではなくてほぼ水分である。要はサウナで痩せると考えている人と大体発想が同じだ。まずなぜ脂肪が燃えないかというと、脂肪は燃やすのにより多くの酸素が必要だからだ。身体はより少ない酸素量で燃費がよりよいものを燃やそうとする。それが糖質だ。糖質を摂取すると、腸管吸収を経て、まず肝臓へと移動する。全身に行き渡った後に肝臓と筋肉にグリコの語源にもなっているあのグリコーゲンとして貯蔵される。肝臓グリコーゲンで蓄積できるのは大体が6時間、だからこそ3食に分けてしっかり栄養を供給する必要がでている。

問題はここだ。ジュースクレンジングで一日で取れるカロリーは1000キロカロリー。ほとんどが栄養不足の状態となる。この中でまず最初に消費されるのが肝臓グリコーゲンだ。グリコーゲンには1個の分子に水分子が3個程度ついている。その水分子がなくなるのだから、冒頭の痩せた!という表現になる。ちなみに1キロを脂肪のみ落とすには7200キロカロリーが必要だ。一日1800キロカロリーだとすると4日間の完全断食が必要だ。そう考えるとそもそも数日でジュースクレンジングで3キロ痩せたというのは、このグリコーゲンが水分子とともに消費されたということ以外に説明がつかないのだ。

例えば低糖質ダイエットをすると、肌がカサカサしたりするという人がいる。これも同じ現象だ。グリコーゲン貯蔵量が低下するから、体内に保有する分子も減っていくという構造だ。

ジュースクレンジングのような栄養不足で体が飢餓状態を作ると、肝臓のグリコーゲンを消費した後には、最終的には筋肉グリコーゲンを使おうとする。筋肉分解から糖エネルギーを作ることをカタボリックという。極端な低糖質ダイエットでも同じことだ。クレンジングという言葉に騙された人は、身体にとってとても重要な筋肉も分解してしまうリスクがあることを覚えてほしい。

人間が必要としている3大栄養素はPFCだ。プロテイン(タンパク質)・ファット(脂質)・カーブ(炭水化物)。デトックスで飢餓状態を作ってしまうことで、より太りやすい身体を作るのではなく、「PFCのバランスを考えて健康に生きた方がよいのでは?」と思う。要はデトックスなんていうのは言葉遊びのマーケティングだし、ダイエットに流行はないということだろう。

それでもコールドプレスを飲みたいという人は自由だ。僕はそれがクレンジングという言葉であたかも健康にいいかのように言っているのが嫌いなだけだ。それはサウナでデトックスというのも意味がないと思っているのと同じ話だ。それでも今日も僕はサウナに行くわけで、本人がそれでいいと思っていたらいい話なわけだ。情弱の人が盲信的にキーワードで踊らされないようにと切に思う。

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