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ラップに包まれたシャリ玉を握り続ける44歳

一年というのはとても早い。去年この日を迎えたと思ったら、また年を重ねるこの日がやってきた。朝起きると世界中のスタッフからの動画メッセージとwhatsappでのメッセージが祝ってくれた。この年をしっかりと記憶の海馬に刻み込もうと、今年は病室でこの日を過ごすことにした。こんなときでないとなかなか抜歯できないと思って、親知らずを抜くのだった。長かったトンネルもそろそろ出口が見えてきた。おそらく数ヶ月後には怒涛のワールドツアー生活に戻ることになる。その前に一人でゆっくりと現場を離れてWAGYUMAFIAのことを再構築したかった。

過去にメディアでも語ってきたが、すべてを失ってからひとつだけ決めたことがある。それは「世界一を獲る」ということだ。その目標を日々頭の中で確認している。37歳から7年が経った、今朝はスタッフからのメッセージとともに世界4都市からのオファーが正式に届いていた。7年前の僕だったら有頂天になっていただろうが、あれから少しおっさんになった僕は冷静に内容を確認して、少し置いてから考えることを覚えた。

思えば6年前の今日はコペンハーゲンにいた。和牛輸出事業におけるヨーロッパ大口のクライアントと一緒にハンブルグの新店舗のオープニングでのパフォーマンスをしていた。まだワールドツアー前の話だ。6年前の今日はこんな日でしたよ、と丁寧に教えてくれる。冒頭の写真はそのときの交渉を地元の新聞が撮ってくれたものだ。

病室のカウンターにはラップに包まれたシャリ玉が乗っかっている。いつでもどこでも握りの練習ができるようにだ。ワールドツアーで握り始めたときはみんなが馬鹿にした。そりゃそうだ、いきなり寿司なんて握れないのだ。あれから数千貫は握っただろう。とにかく握る数を増やすために、回転寿司にも修行にいった。今は握りをどうやって美しくするか、を握る所作をiPhoneで動画を撮りながら見直してまた練習するという作業を繰り返している。もうこの頃になると馬鹿にする人間は少数派になっている。

人間は生まれた時は誰もが二足歩行できない動物だ。いきなり立ち上がって走り出す赤ちゃんはいない。大切なのは本能で立ち上がろうとし続けていることだと思う。大人ヅラした人たちは常にチャレンジを否定する。それは彼らがチャレンジする本能をとうの昔に止めて、二足歩行することを忘れたからだ。僕はそんな人達が嘲笑している間に、シャリ玉と格闘している。意味のない努力などない、それは自らが意味があると信じ続ける限り。奇跡は忘れた頃にやってくる、そのときのためにしっかりと毎日の意味を確認していきたいと思う。

世界一を獲る!

今年もどうぞ宜しくお願いします。

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