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シンガポールの店舗オープンに向けての最終チューニング

京都の店舗オープンに続いて、シンガポールの店舗オープンへと続く。深夜セッションを終えてから、レッドアイフライトでシンガポールに朝一到着、そこから店舗へと駆けつける。逐次遠隔でみていたものの、出来上がりは実物をみないと心配だ。平面図からCG、そして今目の前に現れている実物のイメージとを、頭の中で浮世絵のように刷り板を重ねていく。映像で見えないのは音である、機械設備の音、そこにアコースティックなリフレクションが加わる。今回、僕は新しい音を導入した。それがこの間からLAでミーティングを重ねてきたクリスが手掛けるSyngのスピーカーだ。ラボではすでに使っているものの、この大規模な空間では初めてである。音場調整をかけながら、バランスをみていく。

そしてテイスティングだ。すぐに細かなチューニングをかけていく、麺の構成比をかえてミリ幅を直していく。シンガポール人は柔らかい麺が好きだと地元のスタッフは言う。そこを日本人が食べても美味しいというレベルに持っていくのが僕の仕事だ。香港チームもかけつけて、彼らとも細かなオペレーションのチェックを確認する。現地のマネジメントはなかなか良くできている。ここから最後のブラッシュアップをかけて土曜日のオープニングへと向かう。僕のものづくりには完成形というものがない、終わりのない連続ドラマのようなものだ。だから始まりにピークを持っていかないというのも僕のやり方だ。そこは始まりであり、味と体験のゴールではないからだ。

そこから物件チェックに入る。昨日までかなりハードに動いてきたのと、完全なる寝不足で頭がクリアになっていないので内見は明日にして空気感のみを吸って帰る。明日しっかりと休息を取ってから、色々とクリエイティブな仕事はやろうと思っている。ホテルのプールで友人と色々と話す、浮かんでいるときが一番体にとっては優しく感じる。出発前にMRIを撮った頚椎と腰椎のヘルニアであることを示していた。ここシンガポールでは整形外科医の予約を抑えていて、毎朝フィジオとともに腰の改善をしていく予定だ。いいクリエイティブは、いい健康状態からもたらされる、それがいいメンタルにも繋がり、スパイラルでまわっていく。

そういえば、出発前の羽田の第三ターミナルで怒鳴り散らしている外国人がいた。「スーパーバイザーを今すぐ呼べ、英語をしゃべろ」と実に横柄な態度だった。何があったかわからないが、深夜で人がいないコロナ禍のような空港で怒鳴っているものだから、すぐにその内容が飛び込んでくる。数十分後、ANAのラウンジで生ビールの機械を嬉しそうにみつめている彼の姿があって、思わず吹いた。世の中には実にいろいろな人がいるが、僕は仕事以外は無駄なエネルギーを極力使わないようにしている。だから本当の友達は少ないし、こうして海外ツアーも僕と家族のみで行動することが多い。羽田から実に長い一日だったが、今日もまた多くの気付きがある大切な時間だった。

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