世界は確実に辛さを欲している
ここジャカルタでスパイス好きって言うと喜ばれることが多い。「おい、サンバルもっと持って来い」「どのサンバルが一番好きか?」などなど、スパイス談義に入る。ここインドネシアではサンバルがこの手の物語の主役になる。いわゆるチリソースである、店で手作りするので各店ユニークな味を持っている。このサンバルには特徴があって、大きく分けて2つだ。一つは調理したサンバル(sambal masak) と、すりつぶした生の状態の(sambal mentah)である。調理したものは独特のまとまり感があり、生のサンバルはすぐに食べないと香りは飛んでしまうが尖った辛さとパンチがある。みんなどのサンバルが好きかなど、とにかくサンバル命なトークが熱いのだ。
この手の手作りスパイスは多くの国にある。僕がよく使うのはかんずりだ、WAGYUSCOのベースにもなっている。海外でもとてもよく売れている人気のスパイスだ。チュニジアにはハリッサがあり、最近ではチューブ型になって日本のコンビニでも売られている。中国には豆板醤、そして韓国にはコチュジャン、ペルーにはアヒ・アマリージョのペーストがある。メキシコにもサルサロハはヴェルデあってアメリカにはご存知タバスコが・・・と、調理方法も原材料の唐辛子も異なるから味ももちろん違う。食べ慣れた環境で、その辛さが脳と体に染み込んでいくわけだから、この手の話はみんなが得意げにお国のチリペースト自慢をしていくのだ。
僕はカレーなどのアクセントでいれるのはカラブリアのペペロンチーノ・ピカンテという小さな唐辛子をブレンダーでオリーブオイルで回したものだ。ここにフレッシュな唐辛子を入れても美味しいし、柚子胡椒を落としてからフレッシュな青唐辛子を回しても美味しい。ジャカルタだったら完熟パパイヤも一緒にまわしてしまえ・・・と、妄想に拍車がかかっていく。この手のバイプレーヤー的な調味料は、今回の会話のようにときに主役狩りをしてしまうことがある。料理を作っていて、そこまでかけられちゃうとなーっというときもあるのだが、それだけ香辛料の中毒性は高いわけだから、好き勝手バシバシやってくれたらいいのだ、と最近僕の中にはいい聞かせるようにしている。
次回の妄想喫茶では今回のサンバルが新たに登場する可能性が高い。
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