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「和牛はマッサージするのですか?」

今週も2本海外メディアのインタビューがあった。GQ ITALIAと中東のプライベートジェットの雑誌だ。国内メディアはほぼ受けていないが、海外メディアはできる限り出るようにしている。今回もイタリア訛りレベルが5段階中3のジャーナリストから、やっぱり飛び出したこの質問3連発。

質問でほとんどと言って聞かれるのが、この3つの質問だ。

和牛はマッサージされているのですか?
ビール飲んでいるのですか?
クラシック音楽を聞いているのですか?

これね、都市伝説的に海外に広がっていてちょっとした食通だったら、この話を交えながらだから日本の和牛っていうのはすごいんだよ的な感じのカウンタートークになる。全否定するつもりはないが、だからといって美味しい和牛が生まれるわけではない。コーミングはされているし、ビールの絞り滓を飼料配合されていたり、クラシックを常時かけているところもある。かといって、和牛の肉質の差にそこまで影響するかといったら、微妙だろう。真面目にビールを飲ましていたら、いくらぐらいの牛になるのかは興味がある。おそらくチャンピオンシップ並の牛になるはずだ。

今日は僕が伝えたいのは、僕が受けた取材のほとんどの人がこの質問をするということは、逆に考えると、世界にはこういう分かりやすいことが覚えられやすいという逆張りの発想だ。世界の人が信じそうなことをやればいいのだ。いやそんなことは意味がないという人もいる、でもね、世界と戦うのであればそろそろそういう発想ができる牧場主もでてきてもいいと思うのだ。

90年代に初めてOPUS ONEというワイナリーに行った。まずワイナリーは比較にならないほど美しかった。セラーに案内されて、美しく並んだ新樽は中心が真っ赤に色付けされていた。それもワインでだ。もちろんすべてがマーケティングとプロモーションのためだ。もうひとつ、この間、新しく出来上がったスコットランドにあるMacallanの蒸溜所に行ってきた。こちらも美術館かと思うぐらいの設備だった。プレゼンテーションがとても良くできており、一連のプレゼンテーションを受けたあとは蒸溜所限定のウィスキーを買って帰るというそういう展開になっている。

いつかOPUS ONEやMacallanのような和牛牧場が生まれたらいいと思う。美しい厩舎で、マッサージもして、毎週金曜日には美しい雅楽の音色と日本酒を和牛たちと一緒に飲む、そんな演出があってもいい。オーベルジュもあり、マーケティングコンセプトもしっかり入っていて、頭でも見た目でも美味しい情報を吸収してもらってから、その肉をシンプルに頂いてもらう。帰りに輸出手続きまでして、その国に和牛をジェットで届ける。WAGYUMAFIAが近い将来目指すのはラストワンピース、生産現場の徹底的な世界レベルでのプレゼンテーションだと思っている。


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