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お粥におかずをぶっ込む潮州粥の魅力

潮州料理という僕が好きな中華料理がある。油をそこまで使わないということもあって、調理方法も蒸す、煮るみたいなシンプルな調理法でいい。この料理に本格的に出会ったのはシンガポールだ、移民の国シンガポール潮州人も多く移り住んだ、一番多い福建人に次いで二番目だ。僕が潮州料理に初めて感動したのは、潮州粥という独特のお粥だ。朝まで踊り明かして、そのまま朝食として食べたのがこの料理だった。広東粥と違い、日本の粥に近い米粒の形を残したなんとも懐かしい味。作り方は簡単でいわゆる十倍粥だ。一合につき、1.5Lの水を使って茹でていくとこんな感じの粥になる。

おかずがショーケースにズラーッと並んでいる、30種類ぐらいはあるだろうか。それを好きなものを注文する。簿は豚ひき肉の醤油煮込み、アヒルの塩ゆで、菜心と呼ばれる芯の煮付け、そして吊るされているダックをカットしてもらう、このあたりが僕のマストアイテムで、人によってはHae Bee Hiam(スパイシーな干し海老)などを頼んだりもするのだが、僕はあくまでもお粥そのもののニュアンスを崩したくないから、いつものマストアイテムで終わる。注文して別皿でやってきたおかずたちを、箸とレンゲのダブルワークで、つかんではすくいながらぶっかけいれて食べる。小椀に注がれるのが薄くちの醤油のようなタレ(いろいろなものを煮込んだあとの煮汁でグレービー)、これも一回しいれてから文字通り書き込むのだ。香港で食べる広東粥とはまた違う具とのコンビネーションで、僕は潮州粥派であることは間違いない。

今回のシンガポールの旅は、この潮州料理にスポットをあててまわってみた。潮州鍋、いわゆるフィッシュヘッド鍋だ。そしてこの潮州粥だ、潮州粥は日本料理にも応用が出来るお粥の新発見みたいな存在なので、すぐにでもこの2つの料理は日本で実験してみたいと思う。建国57年、おっさんの年ぐらいのシンガポールだが、この国のバラエティーに富む料理には本当に毎回感動させられることが多い。ぜひ定番の料理たちもいいが、この手のローカルに愛されている料理も回ってみてもらえれば幸いだ。


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