シネ・テロリスト宣言 右手の剣でNetflixをぶっ潰し、左手でレンタルショップを愛せ

序 全世界の映画好きよ、団結せよ(共産党宣言)

Amazonプライム・ビデオもNetflixも知らなかった5年前。可愛げも残る映画青年だった僕はストリーミングサービスに、誇張ではなく、文字通り、無限の希望を抱いていた。
ネット環境さえあったら、誰でもどこでも、好きな映画を好きなだけ見られる新時代。こんな文句、誰だって憧れるでしょ?
ただこれは5年前のお話。大学も卒業して、社会の波にもまれて現実を色々と知った今の僕は、映画の自由を求めてストリーミングサービスと戦うシネ・テロリストだ。5年もあったら色々変わるもんだ、Zガンダムのカツみたいに。
これだけは言っておくが、僕はこう見えて理論的な方で、カツみたいな思春期こじらせて勝手に死んだクソガキとは違う。ちゃんとシネ・テロリストになった理由も大義もある。逐一お伝えしていこう。これはシネ・テロリストのマニュフェストだ!

1 我々のクラウドは無限ではない(ガメラ2)

昨今のストリーミングサービスの興隆、自然淘汰と認識する読者諸君も多いだろう。
商店街をジャスコが捕食したかと思えば、そのジャスコもネット小売サービスに惨殺される。資本主義社会だとよくある事だ。僕だって閑散とした商店街やゴーストタウンさながらの廃墟になったジャスコを見てなんとも思わない。そりゃ同じパスタソースなら一番安いamazonで買うし、便利だし。弱い奴は生き残れない、悔しかったら強くなれ!(大河ドラマ平清盛ネタ。わかる人は友達になりましょう)ってのが神さまお客様の意見だろう。
けど、映画となると話は全く別。ネトフリもプライムも、映画にとって害悪でしかない。
とにかく、ラインナップがダメ。ゴダールもアンゲロプロスも、ストローブ=ユイレもない。聞こえてくる聞こえてくる、こんな蓮實重彦が好きそうな映画、誰が見るかよ、って。君のボヤキはもっともだ。なら、アベンジャーズはどうだ?老若男女、当時世界で二番目にヒットした映画だぞ。探してみたが、うん、ない。
分かるだろう、ラインナップ数は自慢するくせに痒いところには徹底的に放置するのがやつらだ。5年前の僕はクラウドってのは四次元ポケットだと思っていた。無限の容量を誇るもんだと。こう見えてIT企業に就職してた今の僕は現実を知っている。そんな世界あと数世代先の話だ。数がダメなら質はどうだ?この通りだよ。
賢明な映画好きならもうこの時点で契約なんてしない。それでも食い下がる中学生みたいな君のためにもっとダメなところを教えよう。

2 ネトフリ利用者はトレンドに魂を縛られた人々だ。だから抹殺すると宣言した!(逆シャア)

さっきも言ったけど、ストリーミングサービスには無限の容量なんてない。ここまで呑んでやろう。しかしやつらの悪さはこんなもんじゃない。
アマゾンプライムで続・夕陽のガンマンを見た僕は、三ヶ月経ってまた見直したくなった。面白い映画は何度でも見たくなるのが人の性だしね。視聴履歴にあった続・夕陽のガンマンのアイコンをクリックすると、レンタル400円って表示が出てくる。要は配信終了してるから、どうしても見たければ金を払え、と。
僕は怒ったよ。無駄な期待させやがって。しかし個人的な感情だけじゃない、この仕様、もっと理論的な問題がある。
配信に期限があるってのはそれまでに見ないと以降は見られないって事だ。限定に弱いホモ・サピエンスは当然期間内に見るよね、トレンドの誕生だ。
映画は、本来こういう縛りがゆるいメディアだ。そこが利点でもある。それなのに、ストリーミングサービスどもは要らない制約をつけて映画好きの行動を一様化するように仕向ける。これを受け入れるってことは、奴らの奴隷になる表明をしたのと同じだ。
そしてトレンド商法をもっとも狡猾に活用してるストリーミングサービスがある、MUBIって言うんだけど。MUBIのラインナップはすごいマニアックな、シネフィル向けなものばっかだ。映画の本数も30本配信期間も30日と短い。シネフィルといえどホモ・サピエンス、限定に弱いから、当然期限内に見るよね。こうして、シネフィルたちの鑑賞作品はだいたい似たようなもんになる。こうしてシネフィルどもは主体性を放棄して管理されちまうのさ。
一つの企業に流されるがまま映画を見るってディストピア感すごいし、何よりたちが悪いのは半教養化したMUBIの映画を見ないとシネフィルじゃないって謎の同調圧力までが生まれるとこ。
filmarksって映画アプリでちょっと気取った映画をレビューして、信者ファンネルを形成して勘違いしてる連中の100%はMUBIユーザーだ。画一化されすぎて、ただでさえバカなシネフィルの鑑賞眼がさらに育たないよ。
まあ、トレンド商法ってストリーミングに限らず、ミニシアターとか新文芸坐シネマテークみたいなところにも当てはまるし、抜本的な解決策が必要な気もするけどね。一時期流行ったでしょ、クーリンチェ少年殺人事件、バーフバリ。みんなは見て当たり前のこの映画たち、見ない権利もあるんだ、ここ大事!
実は僕に似たことは啓蒙の弁証法って本で、アドルノとホルクハイマーも言ってたりするんだ、強いよね白人様の後ろ盾があると!
なんか愚痴っぽくなって論点がズレたね。とにかくダメな理由ってのはわかったと思う。

3 まだだ、(レンタルショップは)まだ終わらんよ(Zガンダム)

悪しきストリーミングサービスどもの悪さはよく分かってくれたと思う。

ここからが対策編だ、僕たちはどうしたらいいの?

答えはすぐそこ、近所のレンタルショップに行けばいい!

昨今急激に衰えてるレンタルショップ、けどレンタルショップで映画を見ることってすごい大事なんだ!

レンタルショップにはゴダールもアベンジャーズもあるし、やっかいな配信期限もないよね。いいことづくめだ。

めんどくさくなってきたからそろそろ終わりにするけど、そこの君、ネトフリもプライムもMUBIも解約してレンタルショップに行け!レンタルショップのイケメン店員、可愛い店員に恋をするのはどんな映画よりも大事なことだ!

けどレンタル廃人の俺はいない歴=年齢、どうして!?

#エッセイ
#Netflix
#Amazonプライム
#TSUTAYA
#GEO
#映画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?