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第三頁「風情部しようぜ!」

突拍子もない書き出しで失礼いたしました。

改めまして、現在制作準備中の「和顔美人づかん」。
「風情ある日常の姿」を繋いでいきたいという想いから、このプロジェクトをスタートさせました。

私こと、ありさ丸は、これが無いと生きていられないというほど「風情」と「人情」が大好きです。
風情あるもの、趣あるものに触れると心潤いますし、人情を感じる瞬間には肚の奥がぐっと熱くなります。
趣ある人を「風情部」と呼び、そこを(少し遊び感覚を交えながら)目指したいなといつも思っています。

でも、いったい風情ってなんなんだろう?どうして、「風」に「情」が合わさるんだろう?
少し自分なりに考えてみました。

また私事なのですが、ここ一年ほど日舞を習っています。そこで最初に教わったのが、長唄「京の四季」でした。
イメージは「枕草子」冒頭の京都バージョンと言いましょうか。
四季の移り変わりを京都の祇園を中心とした実際の場所を混ぜ込みながら唄った上方の端唄です。

この「京の四季」の振り(私が所属する流派)では四季折々の「風」が表現のポイントになっていて、

春は桜吹雪を起こすつむじ風。
夏は夕涼み時に吹くやわらかい風。
秋は紅葉を揺らすそよ風に、落ち葉を吹き寄せる強い秋風。
冬は雪が降り積もるのを覗き見る時に感じる、冷たい外の風。

唄と振りを噛み砕いていくと、このように季節ごとの風を振りとして折り込みながら、楽しさや憂いも情景と共に表現されていて、日本舞踊を初めて間も無い私はぐるぐると展開される風景と情念が違和感なく入り混じっていることに驚きました。

日本の四季というのは、グラデーションで徐々に移り変わっていきます。
閉ざされた冬の後は暖かい春がやってくるし、厳しい夏が過ぎれば穏やかな秋がやってきます。それは古来から続く普遍的な動きです。

自然や季節は流れていくもの。人の人生も流れていくもの。
そういった、同じように「変わらず、移り変わっていくもの」に自分の精神もを重ねるのが、日本の人たちは特に上手だったのではないかなと、ある時思いました。

そういえば、和歌の中にも詠まれていますよね。
夕暮れの雲の流れが遠く続くのを見ながら、遠くにいる恋人を想ったり。

「ゆふぐれは雲のはたてにものぞ思ふ 天つ空なる人を恋ふとて」
(訳:夕暮れになると雲を眺めては、物思いにふけています。あの空のように手の届かぬところにいる恋人を思って。)
万葉集 作者不明

花が咲いたら実を結ばないことはないでしょう?と恋の成就を願ったり。

「はしきやし、吾家(わぎへ)の毛桃、本(もと)しげみ、花のみ咲きてならざらめやも」
(訳:私の家の桃はこんなに繁っているのですから、花だけが咲いて実がならないなんて、そんなことはないでしょうね。)
万葉集 作者不明


直接「会えない!寂しい!」って言うのではなく、日本の人は自然を介して想いを表現することを常としてきました。なぜって?それは自然への敬意の現れだったり、それが日本古来からのの美学だったのではと思うのです。

「風情」の話に戻ります。
日本の四季を一番よく表すのが「風」でした。それは空気を運ぶもので、目に見えなくとも私たちはちょっとした四季折々の自然の変化を感じることができました。
そこに、自分の想い「情」を重ねて日々生きていたのです。

それだけ?って思う方もいるかもしれません。
でも、私は「それだけ」でこんなに幸せなことはないと思うのです。

自然の風を心に感じながら、嬉しいことも悲しいことも、人生を味わい尽くす。
そうして「風」と「情」が合わさった時、人や風景はただの存在ではなく、趣ある姿に変化します。誰かのことを大切に想ったり、自然を慈しむ姿は、何にも変え難く、また表面の美醜に関わらず美しいと私は信じています。

2020年になり、オリンピックも控えて日本に来る外国人の数は格段に増えてきています。ありがたいことに、日本の文化に興味を持つ方も多く、私が暮らす京都の町にはレンタル着物で着飾った外国人の方々を沢山見かけます。
また、来月2020年2月からはロンドンはV&A博物館で「東洋のファッション」としては初となる『 Kimono: Kyoto to Catwalk 』というエキシビジョンが開催され、益々着物や日本文化に注目が集まることと思います。

いろんな国の、いろんな人種の人に日本が注目された時。
一体わたしたちは何をしたらいいのか。
なにを見せればいいのか。

見せようとする努力は必要はないと思います。
ただ、この国の風土を感じ、日々のちいさな幸せを大切にしながら暮らす。自分や、近くにいる人を大事にする。
無理に見せようとしなくとも、そこに自然と風情が生まれます。目に見えないものでも、それは確実に海外の人にも伝わります。

風情を自分の中に湛えること。
それは人を和ませ、平和を呼びます。
日本の人たちが一番得意としてきたもの。趣を感じる感覚、その美しい表情、姿勢。

新しい年号になり、新しい時代が始まり、外へ外へと進み出した今だからこそ、心にそっと風情を湛えて欲しい。

そういう訳で、この時期に写真集を作るプロジェクトが始動したのであります。なので、作品はとっても風情たっぷりなものになること請け合いです。
話は長くなりましたが、結局のところ「風情ある姿っていいよね!」ってことなのです。そんなところで今回は筆を置きたいと思います。

風情ある姿って、ステキです。みんなでステキになりたい。風情ってたのしい。
風情部しようぜ!


和顔美人づかん
ありさ丸

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(写真集は現在製作中。発売はおそらく夏頃予定です。クラウドファンディングにてリターンとして販売を予定しています)


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