『ディアーヌならできる』 〜フランス映画(MyFrenchFilmFestival)長編19番勝負 14/19〜

友達のゲイカップルのために代理出産をプレゼントすることにした猪突猛進型パリピ女ディアーヌは祖母の家を改修する目的で呼んだ工事人ファブリツィオとうっかり恋に落ちてしまう、あっちゃ〜よりによってなんで今なわけぇ〜もうあたしったらドシドジぃ!だけど思いは止められない、しょーがない、ピンチの時はなりゆきまかせよ!かくして体内にがっつり異性恋愛をインストールされた“普通”男性ファブリツィオの眼前に、自分たちの子供を待望するトマとジャック、ホモもヘテロもぶっちぎって気ままに生きるディアーヌの壁が立ちはだかる·····
僕が審査員なら、ディアーヌを演じたクロチルド・エスムにアカデミー主演女優賞100個あげますね、そのくらいの熱演で、ばか明るく常に周囲を笑顔にする一方その倍の数の男を不幸のどん底に叩き落としているに違いない自由奔放な女性像を見事に演じきっています、同性愛への無理解、妊娠時の女性の不安と男性の役立たずっぷりなど、テーマはモリモリのマシマシですが、そのすべてが日常生活におけるごく自然な風景の中に溶け込んでおり、結果として生々しい性表現を遥かに突き抜けてディアーヌのたくましい生命力が噴出してくる、めちゃパワフルな傑作に仕上がっております、で、あけっぴろげな性の奔流が最終的に生のエネルギーに転換される、これなにかな〜と考えたら、アルモドバルですね、ペドロ・アルモドバル監督の映画が好きな人にはどんぴしゃかと。
車内BGMの歌唱に合わせてディアーヌがあくびするタイトルバック、その大きく開かれた口が出産時の絶叫を予告する映像的連関には脱帽(脱輪なのに)。

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