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聴かせて!【太田南地区コミュニティ協議会】のわがこと

3回目となる「聴かせて!みんなのわがこと」。これまでとちょっと趣向を変えて、今回は地域の自治組織である「太田南地区コミュニティ協議会」にお邪魔してきました。お話しいただいたのは滝本友美さん、堀上宏樹さん、堀越美由紀さんのお三方。
「コミュニティ協議会」って聞いたことあるけどよくは知らない…という方もいらっしゃると思いますが・・・実はこんなことをしてるんです。

「聴かせて!みんなのわがこと」とは?
香川県内でとても素敵な活動をされている個人や団体にスポットライトを当て、「共感の輪が広がっていってほしい」という想いから、その活躍や想いなどの わがこと(我が事)をインタビュー形式でお届けします。

Vol.3
太田南地区コミュニティ協議会

地域住民による地域住民のための組織

ーそもそもコミュニティ協議会(以下「コミ協」)ってどんなところなんでしょうか。

滝本さん:ひとことで言うと、地域内の課題を解決する地域住民による組織です。高松市の場合はおおよそ小学校区単位になっていて、太田南の場合は太田南小学校区が単位になります。
地域住民といっても、住んでいる方だけでなくそこに通学・通勤する方も含めて、地域に関わる人は自動的にコミュニティの仲間ということになります。そして、各コミ協の活動拠点としてコミュニティセンター(以下「コミセン」)があります。

ーコミ協のなかで、みなさんはどんな活動をされてるんでしょうか。

滝本さん:私はコミセンの管理運営をするコミュニティセンター長と、コミ協の事務を担当する事務局長を兼務しています。基本的にボランティアとして活動する他のメンバーとは違って、仕事としてコミ協からお給料をいただいて活動する立場です。

堀上さん:安全部会という組織の部会長をしています。学校からの要望、地域からの要望をまとめる役割ですね。それとキッズクラブ育成会(以下「育成会」)にも所属しています。あとコミ協の理事でもあります。
あ、本業の仕事ももちろんしていますよ。

堀越さん:堀上さんはいつもコミ協のことやってるから、仕事はやってるのかな?って心配になりますけどね。
私は育成会で副会長をしています。仕事はパートタイムで働いてますが、私も育成会を放っておけなくて、なかなかシフトが入れられないです(笑)

堀上さん:育成会は小学校の子ども会のまとめ役となる組織ですね。PTAは保護者中心の組織、育成会は子ども中心の組織、みたいな感じでしょうか。

インタビューにご協力いただいたみなさん(左から堀越さん、堀上さん、滝本さん)


見守り活動から始まった「ピンクベスト」

ー太田南ではちょっと面白い活動をしているというお話を聞いたのですが、どんな活動でしょうか。

堀上さん:「ながら見守り活動」ですね。堀越さんも一緒にやっている児童の見守り活動です。ピンクのベストをユニフォームにしているので通称「ピンクベスト」って呼んでます。

もともと、太田南小は集団登校をやっていて、登校時に保護者が自分の子ども以外にも声を掛けてくれたりと自主的な見守り活動があったんですが、コロナの影響で一時分散登校になり、それが難しくなった時期があったんです。
それでも一部の保護者は見守りを続けてくださってたんですが、何も目印がないので不審者扱いされかねないという問題もあったんですね。
育成会のなかで、見守り活動であることを分かりやすく伝えたい、見える化したい、という話になったとき、ちょうど倉庫に使われずにいたピンクのベストがあったので、それをユニフォームとして着ることになったんです。

ピンクという色は安心感があっていいんですよね。私たちは「幸せを運ぶピンク」って呼んでます。

ー幸せを運ぶピンク。いい言葉ですね。堀越さんはどんなふうに活動に関わるようになったんでしょうか。

堀越さん:中2になる息子がいるんですが、その子が小学校に上がったころ、毎日集団登校の集合地点まで付き添っていたんです。
そのうち他の子どもたちにも自然に話しかけるようになったんですが、それを他の保護者の方が見かけたときに「不審者?」という目で見られることがやっぱりあったんですね。
それで2年前に育成会本部に入ったときに、ユニフォームがあったらいいね、という話をしたら「ピンクのベストだったらあるで」と。

ただ、見守り活動って縛りがあるとやりづらい。「○日○時に○○で」と決められると、どうしてもしんどくなりますよね。
太田南にも既存の見守り活動がいくつかあるんですが、他の予定と重なったり、子どもが熱を出したときに行けなかったらどうしようと思うと気が進まなくて、それでなるべく縛りのない活動をしたいと思ったんです。
なので私たちの活動は、買い物に行きながら見守り。散歩しながら見守り。私たちは「ながら見守り」と呼んでいます。

思いついたその日にすぐに学校に行って教頭先生に「こういうことをやってみたいんです」とプレゼンしたら「ぜひぜひ!」って。

ーすごい行動力ですね。いまメンバーは何人くらいいるんでしょうか。

堀上さん:一昨年7月にスタートした当初は私たちを含めて7人でしたが、いまは54人で活動しています。

ー短期間でそんなに!

堀越さん:ずっと保護者の方に呼びかけはしてて、でもなかなか増えなかったんですが、「もしかしてきっかけがないのかな」と思って最近「良かったらピンクベスト着ませんか?」って声を掛けるようになったらみなさん「あ、着ます」って。
あと、育成会という枠組みだと児童の親御さんしか入れないイメージなんですが、おじいちゃんやおばあちゃんにも入ってほしいなと思って。それと同時に小学校を卒業された保護者の方から「見守りを続けたい」というお手紙をもらったこともきっかけとなって、育成会から地域全体の組織に移行拡大しました。最高齢は80歳の方もいます。

ーちなみに「ピンクはイヤ」って人はいませんか?(笑)

堀上さん:いないですよ。時々「オードリーの春日」って言われたりしますが(笑)

ながら見守り隊の活動風景。ピンクのベストに見守られて、こどもたちも安心して学校へ。


地域との関わり方

ーお二人とも、地域の課題を人まかせにせず、自分たちの力で解決しようと熱心に活動されてるのがすごいなと思います。

堀越さん:いえいえ、私のやっていることは単に保護者としての活動なので・・・。コミセンに出入りするようになったのも育成会本部に入ってからですね。いまだにコミセンやコミ協がどんなことしているか、よく分かってないですし。

ーなるほど。そういうコミュニティとの関わり方もあるんですね。

堀越さん:普通のお母さんにとってはコミセンは敷居が高いイメージなんですよね。どんな風に利用していいのか分からない。私もそうでした。
いまはすっかり顔なじみで、みなさんにこの場所の活用方法を提案したりもしています。

滝本さん:うちはいつでもウエルカムなんですけど、こうやっていろんな人に来ていただけるようになるのはほんとに有り難いです。
ちょっとしたことでも、例えば荷物の受け渡しででもいいので、今まで来たことないという人にも使ってもらえたらいいなと思います。

ー見守りって大変ですよね。保護者の方に不審者扱いされたりするのもしんどかったのでは。

堀越さん:「ながら見守り」だから、無理なく続けられたんでしょうね。
あと、やっぱりほっとけない。昨日泣いてた新1年生の子、今日は元気かなって。私、お節介な人なんですよ(笑)
以前は不審者情報のメールが多くて、メールを見るたび怖かったんです。でも自分の子も心配なんですけど、じゃあ自分の子だけ良かったらいいのか、っていう気持ちがあって。だから続けて来れたんだと思います。

ーお節介な人って大事です!地域の活動に関わるようになったのは、やっぱり育成会に入ったことがきっかけなんでしょうか。

堀越さん:そうですね。もともと個人的に見守りの活動はしていましたけど、育成会本部に入ったからには何かしたい、と思いました。

堀上さん:私も会長になって1年目はなにも分かってなくて、「へえ、お祭りって育成会がしてたんや」って感じでした。
いろんなことが分かってきて、2年目、3年目と活動できるようになっていった感じです。

ーコミ協というと、どちらかというと年配の方ばかりが活動しているイメージですが、太田南はちょっと違う雰囲気ですね。

滝本さん:平成17年にコミ協が設立されて以来、これまでは大先輩の方々が頑張って引っ張ってきてくれました。いまでもお元気で活躍されている方も多いんですが、だんだんとご高齢になって、活動が難しくなってきてて。そんなこともあって、今は若い人の活動を応援してくれてますね。
事務局としても、頑張ってくださってるお二人のために、繋ぎ役や広報など裏方としてサポートできればと思ってます。

ーそもそも、お二人が育成会に入ったきっかけは?

堀上さん:近所の焼き鳥屋の飲み会に誘われて、そこで。乾杯したらもう断れない(笑)

堀越さん:私は育成会の方に「本部に入りませんか?」って誘われて。当時の太田南小では6年間で1回はPTAとか育成会とか、なんらかの役員を務めることになっていて、じゃあ育成会がいいな、と。

滝本さん:若い人が地域の活動に参加するきっかけとして、多少の強制感はあるにしてもPTAや育成会の活動に参加して、そこから・・・という流れがあるんですよね。
だからコミュニティのエリア内に学校がある、というのは地域にとってすごく意味があるな、と思います。ただ、今年からPTAや育成会への加入が任意になった(加入意思確認を行うことになった)んですよね。かなり影響がありそうで、気になっています。

子どもたちと関わるPTAや育成会の活動が、地域に参加するきっかけに。


コミュニティの未来

ー太田南小は他地域からの転入も多いですよね。

滝本さん:全校生が約1,000人で、そのうち転入出が1年間で100人くらい。1年で1割入れ替わりますね。小学校6年間ずっと在籍する子がだいたい全体の7割くらいと言われています。
そうやって新しく転入してきた方にどうやって地域に関わってもらうか、なかなか難しいところです。

ー難しいですよね。単発のイベントに来てくれてもそれきりですし。

堀越さん:「地域の当番とか面倒だから関わりたくない」って自治会に入らない方もいます。そんな人ばかりになって、そのうちゴミ置き場を掃除する人がいなくなったらと思うと心配ですね。町が汚れてくると治安にも影響しそうな気がします。
いまは自治会がまだ機能しているから、なにか困りごとがあったらまず自治会に言って、そこでみんなの意見を集約してから市に上げることができます。一人では不可能なことも、自治会という組織で訴えることで実現することもあるわけです。
でも、自治会がなくなったら各々がバラバラな意見を市に直接言うようになって、そしたら収拾が付かなくなりそうですよね。それはすごく心配です。

ーほんとにそうですよね・・・そう考えるとピンクベストのように自分たちの困りごとに自分たちで取り組む活動って、とても大切な気がします。

滝本さん:そうですね。年配の方に加えて若い方たちが地域に関わってくださることはとても有り難いです。
一方で、みなさんが集まる場を常に提供したり、必要な情報やリソースを提供したり、コミ協内の各団体同士で活動が重複しないように調整したりということが大事で、それが私たち事務局の役割なのかな、と思います。

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こどもから年配の方まで、いろんな世代が一緒に活動。マスコットの「ゴンタくん」もお手伝い。


元気な太田南であり続けたい

ーこれからこうしていきたい、コミュニティがこうなってほしい、というのはありますか。

堀上さん:コロナ以前に戻って欲しいですね・・・以前のようにコミュニケーションがとれたらな、という思いはやっぱりあります。
やっぱり、コミュニケーションがあってこそのコミュニティだなって。

滝本さん:堀上さんや堀越さんのような方がもっと増えるように、風通しよく、気軽に参加してもらえるようにしていきたいです。コミュニティも変わっていかないといけないと思うし、「ここに住んで良かった」と思ってもらえる取り組みを続けていきたいですね。
そして、元気な町であり続けたいな、と。外から見て「太田南がいい」って思ってもらえる町でありたいですね。


取材を終えて

地域活動って、「めんどう」「なんか大変そう」と思ってる方も多いのではないでしょうか。実は、私自身もほんの数年前までそんな風に思ってました。
一方で、地域には一見めんどうに見えることに、丁寧に熱心に取り組んでくれている名もなき担い手達がたくさんいます。そんな温かい住民の支えがあって、私たちの日常生活があるのだと感じるのです。
今回の太田南地区のみなさんも、活動を進めていく中で、それなりに困ることもあると思うのですが、みなさんの魅力は「当たり前のことを当たり前に大事にしている」ことです。

「子どもの命や未来は、地域のみんなで守る。育てる」
「誰でも気軽に参加できる方法を取り入れる」
これもまた当たり前のことですが、実はなかなか難しいもの。

今回のお話にもあった、「既存の枠組みに捉われない関わり方」は色々な場面でヒントになるお話でした。

インタビュー後に記念撮影。ありがとうございました!

太田南地区コミュニティ協議会
Web:https://www.ootaminami.org/
TEL:087-865-9947

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