長期休暇を問い直してみる

これを書いているのは2024年1月3日。年末年始の長い休みが終わり、明日から仕事という人も多いだろう。

「サザエさん症候群」なんていう言葉があるくらいで、休み明けというのは多くの人にとって憂鬱なものである。それも普段の2連休とは違って少し長い休みだったのなら尚更だ。

今日はこの長期休暇というものを問い直してみようと思う。件の年末年始やゴールデンウィークにお盆など、学生や社会人の多くは1年に何度か長期休暇というものが与えられるが、実は僕は長期休暇について少し懐疑的である。

さて、ここからは僕が長期休暇に感じる違和感を挙げる。

まずひとつは日本国民のほとんどが同じタイミングで休みを取るということだ。エッセンシャルワーカーや小売業など、例外は探せばいくらでもあるが、多くの人々はほぼ同じタイミングで同じくらいの連休を取る。

そして印象論でしかないが、多くの人は連休になると旅行に出かけたり、ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンといった有名テーマパークを訪れることが多い。同じ場所に同じタイミングで休んでいる人たちが来ることになるわけで、長期休暇中の観光地はびっくりするほど人が多い。そして、ニュースで情報提供があるほど主要な高速道路が渋滞する。いや、疲れるでしょどう考えても。

僕は大阪生まれ大阪育ちでいわゆる都会っ子なのだが、都会っ子の僕でも嫌になる程大阪には人が多い。特に休みの日の梅田や難波といった繁華街はカフェに入るのに並ばないといけないなんて事態が起こる。カフェとは本来ゆっくり過ごす場所だと思っていたのに、本末転倒である。

というように、せっかくの長期休暇なのにわざわざ疲れるような行動を取る人がなんと多いことかと思う。

次は「"長期"休暇」と銘打っておきながらその期間が短すぎることだ。僕の違和感のほとんどはここに集中している。長期と銘打つのであれば、1ヶ月や少なくとも2週間くらいは休みでなければならないと思う。たかだか5日程度で長期休暇を名乗るなと言いたい。
しかし、残念ながら日本では休みを取ることイコール悪いことだという共通了解があるように思える。大手総合旅行エクスペディアの調査によると、日本の有休消化率は世界16地域の中でワースト2位の60%程度だった。

https://www.expedia.co.jp/stories/wp-content/uploads/2023/04/Expedia_Vacation-Deprivation-2022-1.pdf

このサイトにはさらに面白い研究結果が記載されている。

日本で働く人の中には休むことより、仕事が溜まってしまうことを恐れている人が多く、まとまった休暇よりも、定期的に短期間の休暇を取得する方が日本の働き方に合っていることが伺えます。

https://www.expedia.co.jp/stories/vacation-deprivation1-2023/

これは週休3日制の是非について調査したものの結果に対するコメントであるが、ここに日本の長期休暇が短い理由が凝縮している。

つまり、日本人は仕事が溜まっているという状態に否定的なのだ。もちろん仕事が溜まっていて嬉しいと感じる人は少ないだろう。だが、それならば仕事量を減らそうという発想に至らないのが僕の考えと異なる点だ。

会社勤めをしているひとであれば仕事量のコントロールは難しいかもしれない。だが、だからといって会社勤めの特権である有給を放棄する選択をするのは正直理解できない。それならば過剰な仕事量を適正にするよう上司と掛け合ったり、社員が有給を取ることを想定せずに仕事量を増やしている方が悪いと開き直って無理にでも有給を取得する選択をしてもいいのではないか。

とは言ったものの、僕の社会人としての経験からもそれが難しいことは理解している。

そんなわけで、日本には1ヶ月近い休みを取れるような土壌がない。これを書くために海外の休み事情を軽く調べたが、フランスは1ヶ月近い連休を取得することは困難ではないようだ。できる国をひとつだけ挙げて「日本は遅れている」だなんて馬鹿げたことを言うつもりはない。しかし、多くの人がそれを望み、実行に移すことができれば実現は不可能ではないだろう。

以上が僕が抱いている長期休暇への疑問だ。まぁそもそも僕はフリーランスなので、年末年始も休みなく働いていた。それでも良いと思える理由については、また別の機会に綴るとしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?