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六月に読んだ本と積読状況報告

少し早いですが、六月の読書録をまとめます。

[読了した本]

夜市
ネフィリム
孤独な娘
成瀬は天下を取りにいく
Unnamed Memory 全6巻
生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想

夜市 (恒川 光太郎)

 この作家の本は初めて読みますが、出会えて良かったと思える本です。
角川ホラー大賞を受賞していますが、グロさんもないし、怖さもさほどありません。ただ、極めて不思議な世界が現実のすぐそばにあって、ふとしたはずみで入り込んでしまう、そういう恐怖があります。一緒に収録されている「風の古道」が美しく、「夜市」と世界的につながっているので納得です。
 ネタバレすると面白くない話ですので、詳しくは書きませんが、ラストのオチも上手いし、私の好きな血しぶきとびまくる小林泰三とは違う、静かで美しい独自の世界を持っていますね。引き続きこの作家の評価の高い作品を読みたいと思います。

ネフィリム (小林泰三)

 わたしの好きな作家の吸血鬼もの小説ですが、はっきり言って凡作です。吸血鬼と吸血鬼ハンター(人間)、さらに異形の魔物の三つ巴の戦いが描かれますが、この手の話を読むなら最近ではラノベのほうが高品質な気がします。小林泰三の作品は、「玩具修理者」「人獣細工」「殺人鬼にまつわる備忘録」「アリス殺し」等々、傑作数あれど、凡作も多いです。
 逆にラノベ感覚で吸血鬼戦争ものを読みたい方がいればおすすめです。ただ、小林泰三独特の良さは違うところにあると思ってください。

孤独な娘 (ナサニエル・ウェスト)

<孤独な娘>という人生相談コラムを受け持つライターの苦悩を描いた物語。短いエピソードからなり、舞台がニューヨークということもあって、先月読んで気に入ったピート・ハミルの「ニューヨーク・スケッチブック」のような味わい深い話を期待したのですが外れでした。ひたすら苦しくて酒に溺れ八つ当たりするキリスト教信者の姿が描かれるだけ。読み込みが浅いのでしょうが、主人公に感情移入することができませんでした。もっとも、このひとの本はこれ以外にないのですが。

成瀬は天下を取りにいく (宮島未奈)


 本屋大賞で評判になっているので、読みましたがわたしにはピンときませんでした。若者向けですね。おじ(い)さんにはきつい笑。アニメ化すればいい感じに仕上がりそうなポップな小説です。視点がエピソードごとに変わり、親友からみた成瀬から始まり、彼女を苦手とする女性の視点、第三者の話、彼女に一目惚れをする男性の視点、様々な角度から成瀬を描き、最期は成瀬本人の視点になります。常に淡々、堂々としていて動じない主人公が、意外にも気持ちがぐらぐら揺れることが最期になってわかるところは上手いと思います。最初はそう思えなかったのが、親友をとても大切にしていたことが最期になってわかります。
 世代ギャップか、わたしには刺さりませんでしたが、主人公の地元愛や、人の目を気にせず我が道をいく、そして異端であることを恐れない、そういうところは今の日本人に一番欠けている部分だと思うので魅力的に映りました。それ以上の感慨はなかったので続編は読まないと思います。

Unnamed Memory 古宮九時

 5月は一-三巻を読み、物語は区切りがつきましたが、四-六巻を読んで、本当の物語を読み終えました。そして書き手の想像力に感動しました。ラノベとっても丁寧に人物や心理の変遷が描かれているので安っぽくはありません。この物語はラブストーリーですが、全六巻を読んで初めて物語の全容がわかるし、二人の愛の深さを知ることができます。
 4月クールでアニメ化されて観ましたが残念ながら細かい重要な部分がすっ飛ばされるし心理描写は雑。この話をアニメでやるなら京アニのヴァイオレットエヴァーガーデンなみの作画や演出が必要ですので、来年後編をやるようですが期待できませんね。アニメでがっかりした方は、原作を読むことをおすすめします。

生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想

シオラン入門としてさくっと読めますが、シオランの生涯を知ることはできても、思想そのものを理解するには足りない本ですね。本人の著書を読みたくなりますが、入手しにくいのが難点。「カイエ」とか高い。。メルカリで見つけたら買おう!笑

以上です。

さて積読は、先月から全然減っておりません。増える一方です笑

ドラキュラ紀元 一九八八 キムニューマン
ブルックリン物語 ピート・ハミル
偶然の音楽 ポール・オースター
天体の回転について 小林泰三
海を見る人 小林泰三
ネフィリム 小林泰三(読了)
夏服をきた女たち アーウィン・ショー
メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち シオドラ・ゴス
夢の遠近法 山尾悠子
アルケミスト パウロ・コエーリョ
百年の孤独(ガルシア・マルケス)文庫版を再読
最期の者たちの国で(ポール・オースター)
墜ちていく男(ドン・デリーロ)
命売ります(三島由紀夫)
花夜叉(赤江 瀑)

とりあえず、「百年の孤独」文庫版が届いて筒井康隆先生が「読め!」と言っておられますので、再読したいと思います。ちなみに文庫本買ってしまったので「百年の孤独」三冊になってしまいました。笑


百年の孤独

それでは良き読書ライフを!

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